私道に接する不動産の売却トラブルやデメリットを回避する方法

私道に接している不動産や土地を売却したいのに、このようなお悩みはありませんか?

「思うように売れない」
「相場よりも評価価格が低い」

実は私道に接している不動産は法律的な制約が多く、将来的なリスクやデメリットを含んでいます。
実際にトラブルも頻発しているため、売却しづらい・相場よりも評価価格が低いというのが現実です。

ここで「結論」を言ってしまいますが…
私道に接している不動産は、将来起こりうるリスク対策への準備をしておけば、公道に接している不動産と同じように売却でき、評価価格も落ちません。

ただしこれらの準備は一般的な不動産業者では難しいケースがあるため、専門性の高い不動産業者への売却依頼をおすすめします。

この記事の監修税理士
監修税理士の税理士法人チェスター代表 福留正明
税理士法人チェスター代表
福留 正明
公認会計士・税理士・行政書士。相続税対策に強みを持つ税理士法人チェスターの代表社員。株式会社チェスターでは、年間100億円以上の売却案件を豊富に取り扱っている。 TV/雑誌など各種メディアからの取材歴多数。また、土地や相続についての書籍も多数出版している。
株式会社チェスターは、総勢200名以上の税理士法人グループの不動産会社です

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1.私道に接している不動産は、売却前にトラブル対策の準備を

「私道に接している不動産=売却が難しい」ではありませんので、まずは安心してください。
自分だけが所有している私道であれば良いのですが、不動産売却で問題となってくるのは「共有私道(複数人で私道を共有している)」に接しているケースや「自分の持分が無い私道」に接しているケースが多いです。
上記のような不動産は、売却前に以下のポイントを明白にし、将来的なトラブル対策を的確に行わないといけません。

売却前に明白にすべきポイント

私道の状況や権利関係によっては、司法書士や弁護士の協力が必要なケースもあります。
そのため、一般的な不動産業者では対応が難しく、司法書士や弁護士と一緒に対応してくれる不動産会社へ依頼をおすすめします。

2.そもそも私道とは?公道との違いを解説

私道とは、個人や法人が所有・管理する道路を指し、公道とは国・都道府県・市区町村が管理をしている道路を指します。
私道と公道の違いを簡単にまとめたものをご参照ください。

私道と公道の違い

私道と公道では管理者が異なり、道路交通法の適用の可否や舗装工事などの費用負担が誰になるのかが変わってきます。
私道は私道の持ち主がアスファルトの舗装工事や除雪作業などの費用を負担し行うことになり、国や自治体が勝手に舗装や除雪を行うことは許されていません。
この他ごく稀なケースですが、国が管理している私道もあります。
そのため、私道の状況は該当不動産のある市区町村の役所へ、必ず確認をしたほうが良いです。

2-1. 私道の見分け方と調べる方法

「道路に標識が立っている」「マンホールに市区町村のデザインが入っている」ならば公道、砂利路であれば私道と判断して間違いはありません。
ですが道路が舗装整備されている場合、私道なのか公道なのか見分けがつかないことがあるかと思います。
どうしても見分けがつかない場合は、該当不動産がある市区町村の建築確認担当課(市区町村によって名称や担当課が変わることもあります)にお問い合わせください。詳細を知ることができます。

3.共有私道の種類で交渉相手が変わる

私道に接している不動産売却で問題になることが多い状態は、複数人で私道を共有している「共有私道の場合」と解説してきました。
共有私道は権利の分け方の種類がいくつかあり、「共同所有型私道」と「相互持合い型私道(縦分け・横分け)」に分類されています。
売却の準備をする際の交渉相手が変わってきますので、しっかりと確認する必要があります。

3-1.共同所有型私道とは

共同所有型私道とは、私道敷地全体を複数人で所有することを指します。

共同所有型私道

共同所有型私道は民法第249条の共有規定が適用されるため、保存・管理・変更(処分)などの内容や要件が法律で細かく定められています。

民法第249条の共有規定

不動産売却で特に問題となってくるのは「変更(処分)」の部分で、上下水道管やガス管などの工事を行うためには私道所有者全員分の掘削承諾が必要となります。
1人でも同意が得られなければ工事はできず、最悪の場合は紛争となるため、売却前に権利関係と掘削承諾書の確認を行いましょう。

3-2.相互持合い型私道とは

相互持合い型私道とは、隣接している宅地の所有者がそれぞれの土地を通路として提供し、私道の権利(筆)を相互に利用させあうことを指します。
持合い形態は「縦に切り分ける場合」と「横に切り分ける場合」、「両者の複合型」の大きく3種類があり、自分の土地に関係する私道の持分所有権が誰なのかを知っておく必要があります。

相互持合い型私道

相互持合い型私道は民法上の共有関係にはありませんが、公道へ繋がるまでの私道内で工事を行う場合は該当者分の掘削承諾が必要となります。
また相互持合い型私道には「通行地役権」が設定されているため、通行料の有無を明確にしておく必要もあります。

3-3.共有私道の持分(権利)の調査方法

共有私道の持分や所有者を調査するには、まずは法務局で公図を取得し、私道部分の地番を調べます。
その後、私道部分の地番の「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得すれば、共有私道の持分や所有者を確認できます。
この登記事項証明書には、登記記録の事項の全てや一部が記載されており、権利関係を調査するのに必ず必要な書類です。

謄本

3-4.公図・登記事項証明書の取得方法

公図・登記事項証明書の取得には費用が発生しますが、誰でも受け取ることができます。
法務局へ赴いて取得することが一般的ですが、インターネット上でも取得可能です。
インターネット上で登記事項証明書を取得する流れは下記になります。

登記事項証明書の交付の流れ

登記情報提供サービスの申込手続は、専用フォームに個人情報やクレジットカード番号を入力するだけです。
郵送で届く個人登録完了通知書に記載されている利用者IDを元に、再度登記情報提供サービスにログインし、登記事項証明書の交付を行いましょう。

4.私道に接している不動産の売却前の準備

私道の状況や権利関係が分かったら、評価を落とさずに売却するために売却への準備を行いましょう。
私道に接している・いないにかかわらず、不動産売却時に準備すべき必要書類は、以下のページで解説していますので、参考にしてください。
<関連ページ>不動産売却に関わる一連の手続における必要書類完全ガイド

4-1.該当者全員の掘削承諾を取得する

共同所有型私道であれば所有者全員から、相互持合い型私道であれば掘削が予定される私道所有者から「掘削承諾」を取得しておきましょう。
もちろん口約束ではなく、書類で「掘削承諾書(同意書)」を作成し、署名捺印を貰うことが必須となります。
この時に、利用料や通行料の取り決めがこれまでされていない、もしくは書面が無い場合は、併せて作成しておきましょう。

4-2.境界確定測量を行う

境界確定測量とは、土地と土地との境界線を明確にするための測量です。
特に該当不動産に接している私道が4m以下の場合、建物を再建築する際に「私道負担(私道を広げるために土地の一部を提供すること)」が発生します。
境界確定測量を行い、私道負担になる場所と面積を事前に特定しておくことで、売却作業がスムーズになります。(必要に応じて私道負担部分の分筆作業も行う。)
境界確定測量については、以下のページで詳しく解説していますので併せてご覧ください。

<関連ページ>不動産の売却に「測量」は絶対必要? 測量の必要性について
<関連ページ>相続対策に測量は必要? 相続と測量の関係とは

4-3.私道の持ち分がなければ購入を検討する

私道に自分の持ち分がなければ、私道の所有者から持分の一部を購入することも対策の一つです。
購入をして私道の所有者となれば、掘削や通行の交渉でトラブルになっても、権利を主張できます。
私道の権利の持ち分の有無は、売却時の価格にも影響してきますので、積極的に取り組みたい対策法です。

5. 私道に接している不動産の売却は、業者の士業ネットワークが重要

私道に接している不動産の売却には、公道に接している不動産よりも沢山の準備が必要となります。
しかもケースによって対応が異なりますし、司法書士や弁護士の力を借りるケースも多いため、司法書士や弁護士と一緒になって対応してくれる不動産業者に売却を依頼することをおすすめします。
最後に「私道に接している不動産の売却のポイント」を復習しておきましょう。

私道に接している不動産の売却ポイント

弊社は、司法書士や弁護士がグループ内にいますので、ワンストップで私道に接する不動産の売却対応が可能です!
また、年間100億円以上の売却案件を取り扱っているため、これまでの実績を元に「より高く売却するノウハウ」をご提案させていただきます。

チェスター不動産の強み

権利関係が複雑な私道に接している不動産の売却は、弊社にご相談ください。

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