相続対策に測量は必要? 相続と測量の関係とは
測量は土地を活用する際など、土地の現状を確認するために行われます。
測量と相続にどのような関係があるのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、相続によって取得した財産に課税される相続税を計算するためには、財産の評価を行う必要があります。
この財産の評価を正しく行うために、土地の測量が必要となるケースがあります。また、物納という形で相続税を納める場合や、相続によって取得した土地を分筆する際にも測量が必要となります。
今回は相続対策として測量を行う理由について考えてみたいと思います。
福留 正明
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目次
1.土地の測量
測量とは、土地に建物を建てる、道路や橋などを造るなど、土地を何かしらの用途に活用する際に、土地の正確な面積や形などを計測する作業を言います。
測量には基本測量・地形測量・写真測量・応用測量など様々な種類がありますが、相続において必要となる測量は主に「現地測量」と「境界線確定測量」となります。
1-1.現地測量
現地測量は対象となる土地の現在の状況を確認するための測量で、実際に現地にある建物等の構造物や既存の境界標などを計測し、その土地のおおよその面積などを把握することが出来ます。
相続では、土地の評価を行う場合に用いられることが多いです。
1-2.境界線確定測量
境界線確定測量は土地の境界線を確定させるために官公署の図面を基に行われる測量です。境界線確定測量を行う際には、隣接している土地等の所有者の立ち会い、確認が必要となります。
相続では、土地の分筆・土地の物納が行われる際には必ず必要となります。
2.相続が発生した際に測量が必要となるケース
相続が発生した際に測量が必要となるケースは、上記でもご説明したように、土地の評価・土地の分筆・土地の物納のいずれかに該当する場合となります。また、相続した土地を売却する際にも境界線確定測量が必要となります。
2-1.土地の評価(現地測量)
土地の評価のための測量は相続税の計算をする際に、土地の評価額を算出するために必要となります。
土地の評価額は路線価方式もしくは倍率方式のいずれかによって算出されますが、必ず面積が必要となります。
正しい評価額を算定するためには、現地測量を行い、現在の土地の状況を確認する必要があります。
2-2.土地の分筆(境界線確定測量)
土地の分筆とは、1つの土地をいくつかに分割することを言います。相続人が複数いる場合に、共有名義で土地を相続してしまうと、売却や新たな相続が発生した際などに面倒なことになるケースが多いため、あらかじめ1つの土地を複数の相続人で分割し、それぞれが分筆登記を行い、後々面倒にならないようにしておくという方法です。分筆登記を行う際には地積測量図を必ず提出する必要があるため、土地の分筆を行う場合には境界線確定測量は必ず行う必要があります。
2-3.土地の物納(境界線確定測量)
相続税は現金一括納付が原則となりますが、現金一括納付が困難な場合には、例外として土地など物納の対象となる物で納付することが認められる場合があります。
この物納を利用する際には、相続税の申告・納付期限(相続発生から10ヶ月以内)までに境界線確認書と測量図を提出する必要があります。
そのため、土地の物納を行う場合には必ず境界線確定測量が必要となります。
2-4.相続した土地の売却(境界線確定測量)
土地の売却を行う場合には、境界線が確定されていない土地は買い手が付きづらいという現状があるため、売却を行う前に境界線確定測量が必要です。
3.境界線確定測量は生前に行うべき
境界線確定測量はかなりの時間を要するため、相続発生前に行っておくことをお勧めします。
土地の所有者の方が不動産賃貸業などを行っている場合には、測量にかかる費用を経費にすることが出来ます。
しかし、相続が発生してしまうと、相続人の方が測量にかかる費用を負担することになります。
相続発生前に境界線確定測量を行っておくことで、相続人の方にかかる様々な負担を軽減することが出来ます。
3-1.境界線確定測量の流れ
境界線確定測量は主に以下のような流れで進みます。
(1)資料調査
地積測量図や公図、近隣の過去の境界線確定資料などの資料の確認、過去に境界線に関するトラブルはなかったかなどの調査が行われます。
(2)近隣の方への説明
境界線確定測量を行うにあたり、近隣の方に測量を行う旨の説明と挨拶を行っておきましょう。
(3)測量
実際に対象となる土地の測量が行われます。測量の結果を受けて、境界線確定のための準備を始めます。
(4)境界確認
境界の確認には、近隣の土地の所有者の方など関係者の立ち会いが必要となります。
(5)境界杭設置
関係者全員の確認・承諾を得たら、境界杭を設置します。
3-2.境界確認に時間がかかることがある
上記の流れにある「境界確認」は、説明にも記載したように、近隣・関係者の立ち会いが必要となります。
極稀に、境界確認の立ち会いに協力してもらえない、隣接する土地の所有者の所在がわからない等、境界確認が難航するケースがあります。
そのようなケースでは境界確認が終了するまでに、かなりの時間を要することがあります。
まとめ
所有している財産の中に土地がある場合、相続が発生した後のことを考えて測量を行っておくことをお勧めします。
もし、相続人複数に対して土地が1つしかないという場合、土地を誰が相続するかという事で、相続争いに発展してしまう可能性もあります。
相続が発生すると、予想していない争いが起こることもあります。そのような事にならないためにも、生前に出来ることをしておく事が一番の相続対策ではないでしょうか? 土地の測量も相続対策として行うべき大切な事の1つと言えます。
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