不動産売却完全ガイド!売却の流れやポイントを解説

「不動産の売却を検討しているんだけど、何から始めたら良いんだろう?」
「仲介と買取、どっちを選ぶのが良いのかな?」
このようにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産売却には「仲介」と「買取」という2つの方法があり、仲介の方が一般的です。
この記事では不動産を仲介で売却する場合を中心に売却の流れや成功するためのコツなどについて詳しくご説明します。
この記事を読めば不動産売却をどのように進めるべきなのか分かりますよ。
1.不動産売却の2つの方法
不動産売却について調べていると、「仲介」と「買取」という2つの言葉を目にするのではないでしょうか。
というのが気になる点ですよね。
まずは仲介と買取の違いやどちらを選ぶべきかについてご説明しましょう。
1-1.仲介での売却
仲介は不動産会社に買い主探しを依頼し、買い主との価格などの契約条件の調整を文字どおり仲介してもらう方法です。
不動産業界では仲介ではなく「媒介」といいます。
不動産売却においては、買取より仲介での売却の方が一般的です。
仲介での売却は、買取よりも高値で売却できる傾向にあります。
特別な事情がなければ仲介での売却を選ぶのが良いと考えられるでしょう。
ただし仲介での売却は一般的に3〜6カ月ほどの時間がかかります。
状況によってはさらに長引く可能性もあるので時間的な余裕が必要だといえるでしょう。
1-2.買取での売却
一方買取は不動産会社に直接不動産を売却する方法で、「直接買取」とも呼ばれます。
不動産会社にとって「買取」はいわば「仕入れ」です。
売り主から買い取った不動産を(必要に応じてリフォームし)売却したり賃貸に出したりして利益を上げます。
そのため買取は仲介での売却に比べ売却価格が安く、市場価格の7割程度になることが一般的です。
基本的には売却価格の高い仲介での売却がおすすめですが、状況によっては買取で売却を行った方が良い場合もあります。
以下に当てはまる方は買取での売却を検討しても良いでしょう。
- ・売却の成立を急いでいる方
- ・個人への売却が難しい高額の物件を売却したい方
- ・借地権、共有、賃貸中の物件、再建築不可などの権利関係の複雑な物件を売却したい方
- ・そのままの状態では売却が難しくリフォームを行った方が良い物件を売却したい方
買い主探しに時間がかかってしまう仲介と違い、買取での売却の場合、不動産会社がスムーズに見つかれば数日のうちに売買契約が成立し引き渡しを行えます。
急な引っ越しなどで売却を急いでいる場合は買取を検討した方が良いといえるでしょう。
また個人の買い主が見つかりづらい一棟マンション、一棟アパート、ビルなどの高額物件も不動産会社への売却がおすすめです。
さらにそのままの状態では買い主が見つかりづらいリフォームが必要な物件も不動産会社ならば買い取ってくれる可能性があります。
2.仲介で不動産を売却する流れ
特に初めての場合、何から始めて良いのか分からずに困ってしまいますよね。
まずは仲介で不動産売却を行う際の流れをご説明しましょう。

STEP1 売却に必要な書類を用意する
不動産を売却する際にはさまざまな書類が必要になります。
事前に書類を準備しておくことでスムーズに進められるといえるでしょう。
不動産売却の手続き開始から売買契約に至るまでに一般的に必要となる書類は以下のとおりです。
| 書類名 | 説明 | マンション | 一戸建て | 土地 |
|---|---|---|---|---|
| 身分証明書 | 運転免許証など | 必須 | 必須 | 必須 |
| 土地・建物登記済証(権利証) または登記識別情報 |
不動産の所有者であることの証明 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 固定資産税納税・都市計画税納税通知書 | 買い主との固定資産税清算に使用 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 物件の図面、設備の仕様書 | 間取り確認などに使用 | 必須 | 必須 | – |
| 地積測量図、境界確認書 | 隣地との境界確認に使用 | – | 必須 | 必須 |
| 建築確認済証、検査済証 | 新築で購入していた場合は購入時に入手済 | – | 必須 | – |
| マンションの管理規約、使用細則、 維持費関連書類 |
買い主に引き継ぎ | 必須 | – | – |
| 売買契約書 | 不動産購入時に以前の買い主と交わしたもの | あれば | あれば | あれば |
| 重要事項説明書 | 不動産購入時に不動産会社から受け取ったもの | あれば | あれば | あれば |
| 建築設計図書、工事記録書 | 工事を行った際の図面と仕様書 | あれば | あれば | あれば |
| 耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書 | 古い建物の場合、信頼性の担保に使用 | あれば | あれば | – |
基本的にはその不動産を入手した際に同時に手に入れた書類をそろえておくとスムーズに進められるといえるでしょう。
ここに挙げた書類が見つからなかったからといって、売却に進めないわけではないのでご安心くださいね。
STEP2 不動産会社に査定を依頼する
概ね必要な書類がそろったら、不動産会社に査定を依頼します。
売却において不動産会社選びは最も重要なポイントです。
不動産がいくらで売れるかは、買い主探しを行う不動産会社の担当者の腕にかかっているといえます。
必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、結果や担当者の対応を見比べて依頼する不動産会社を決めるようにしましょう。
なお不動産査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
机上査定は「簡易査定」ともいい、立地や広さ、間取り、築年数などの物件の情報と周辺の不動産の取引価格や市場動向などのデータをもとに査定額の算出を行います。
訪問査定では机上査定の結果をもとに、不動産会社の担当者が現地を訪問して物件の状態や周辺環境などを加味して査定額を算出します。
まずは机上査定を依頼し、それから訪問査定に進むのが一般的です。
6〜10社程度に机上査定を依頼し、そのなかから気になった2〜3社に訪問査定を依頼して実際に仲介を依頼する不動産会社を選ぶと良いでしょう。

STEP3 不動産会社を選ぶ
査定結果が出そろったら、実際に契約を結ぶ不動産会社を選びます。
不動産会社選びの際は査定額はもちろん、その根拠や担当者の対応などをきちんとチェックしましょう。
このようにお思いかもしれませんが、仲介において不動産会社の提示する査定額はあくまで目安でしかなく、その金額での売却成立を保証するものではありません。
なかには相場よりも高い査定額で媒介契約を促そうとする悪質な不動産会社も存在するので、きちんとした根拠に基づいて査定額が算出されているかという点が重要になります。
また不動産会社の担当者の対応もしっかりチェックしておくと良いでしょう。
仲介での売却は売却活動に時間がかかるので、数カ月にわたってやりとりする可能性もあります。
ストレスなくコミュニケーションができるかという点は非常に重要になるので対応が丁寧かつ迅速かしっかり確認しておきましょう。
STEP4 不動産会社と媒介契約を結ぶ
仲介を依頼する不動産会社が決まったら、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約には以下の3種類があります。
- ・専属専任媒介契約
- ・専任媒介契約
- ・一般媒介契約
一般的には専属専任媒介契約か専任媒介契約を結ぶのが良いでしょう。
専属専任媒介契約か専任媒介契約のいずれかを結んだ場合、他の不動産会社と同時に媒介契約を結ぶことはできません。
代わりに不動産会社が売却活動を積極的に行ってくれることが期待できます。
専属専任媒介契約および専任媒介契約では不動産会社から売り主に対して定期的な売却活動の状況報告があります。
売却活動がどのように進められているのか報告があれば安心して任せられますよね。
また専属専任媒介契約と専任媒介契約では「レインズ」への物件登録も義務付けられています。
レインズに登録された不動産情報は宅地建物取引業者(不動産会社)であれば閲覧できるので、不動産購入を検討している方から依頼を受けた他の不動産会社がレインズを見て売り主の依頼した不動産会社に連絡を取り、買い主が見つかるケースもあります。
レインズに登録されている物件は広く閲覧されるチャンスがあるのでその分買い主が見つかりやすいと考えられるのですね。
専属専任媒介契約と専任媒介契約の大きな違いは、自己発見取引が禁止されているか否か、という点です。
専属専任媒介契約では自己発見取引が禁止されている代わりに不動産会社からの報告の頻度が1週間に1回以上と高く、レインズへの登録期限も早く設定されています。
一般媒介契約は、売り主が複数の不動産会社と結ぶことができる媒介契約です。
自己発見取引も禁止されていないので範囲を限定せず自由に買い主を探せるといえますが、複数の不動産会社と自分でやりとりする手間がかかってしまいます。
また不動産会社からしてみれば一般媒介契約を結んだ不動産は売却活動を進めても他社で売買契約を締結されるリスクがあるため、特に人気エリアの不動産でもない限り、他の媒介契約に比べ売却活動を積極的に行ってもらえない可能性があります。
不動産会社からの定期的な報告やレインズへの登録も義務付けられていません。
| 契約の種類 | 売却活動に関する 報告の義務 |
他社との同時契約 | レインズへの 登録義務 |
自己発見取引 | 契約期間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 専属専任媒介契約 | 1週間に1回以上 | 不可 | 契約から5日以内 | 不可 | 最長3カ月 |
| 専任媒介契約 | 2週間に1回以上 | 不可 | 契約から7日以内 | 可 | 最長3カ月 |
| 一般媒介契約 | なし | 可 | なし | 可 | 規定なし(3カ月が一般的) |
自己発見取引の可能性がない場合は専属専任媒介契約、自己発見取引の可能性がある場合は専任媒介契約を選ぶのが良いでしょう。
また媒介契約を結ぶ前に必ず媒介手数料と解約の条件を確認しておきましょう。
媒介手数料は売買契約が成立して初めて発生するシステムで、担当者の人件費や広告費もこれに含まれています。
不動産会社は特殊な場合を除き、売り主に媒介手数料以外の費用を請求してはならないことになっています。
媒介手数料は成約価格に応じて上限が決まっています。
媒介手数料の上限は以下の速算式で求めることができますよ。
| 成約価格(税抜) | 仲介手数料の上限(税抜) |
|---|---|
| 200万円以下 | 成約価格(税抜)×5% |
| 200万円超400万円以下 | 成約価格(税抜)×4%+2万円 |
| 400万円超 | 成約価格(税抜)×3%+6万円 |
さらに媒介手数料には消費税がかかるという点には注意が必要です。
上に示したのはあくまでも上限であるため不動産会社によってはそれを下回る媒介手数料が設定されている場合や、交渉次第で媒介手数料を割引してもらえる場合もあります。
媒介手数料の値引き交渉のチャンスがあるのも契約締結前だといえるでしょう。
ただし売却活動にかかる費用も手数料に含まれているため、あまり手数料が下がり過ぎると十分な売却活動を行ってもらえない可能性があることも理解しておきましょう。
媒介契約を結ぶのに最低限必要だとされているのは以下の書類などです。
- ・身分証明書
- ・登記済権利証または登記識別情報通知
- ・認印
その他に売却活動時に必要になる書類やあれば売却活動の助けになると考えられる書類もあるので、詳しくは不動産会社の担当者に確認しましょう。
STEP5 不動産会社が売却活動を行う
媒介契約を結んだら、不動産会社が売却活動を行います。
レインズへの登録を行ったり、チラシを作成して近隣にポスティングしたり、SUUMOやLIFULL HOME’Sなどの不動産ポータルサイトに情報を掲載したりします。
現在、不動産を探す方の多くはインターネットでの情報収集をしているものと考えられます。
売却したい不動産がネット上でどのようにアピールされているのか確認しておくと良いでしょう。
事前に確認できる情報が充実していればその購入希望者の興味を引けると考えられます。
STEP6 買い主と売買契約を結ぶ
買い主が見つかったら、いよいよ売買契約を結びます。
売買契約時に必要な書類などは以下のとおりです。
- ・身分証明書
- ・実印
- ・登記済権利証または登記識別情報通知
- ・印鑑証明書(発行後3カ月以内のもの)
- ・住民票
- ・固定資産税納税通知書
- ・収入印紙(契約額に応じて売買契約書に貼付)
契約の前には不動産会社の担当者(宅地建物取引士)から買い主に不動産の公法上の規制、権利関係などに関する「重要事項説明」が行われ、書面が交付されます。
売り主も内容を確認するようにしましょう。
重要事項説明が済んだら、売買契約書、物件状況等報告書、設備表などの読み合わせが行われます。
こちらも必ず内容を確認しておきましょう。
売買契約書など全ての書類に署名・捺印が終われば契約の成立です。
このとき買い主から売り主に成約価格の10%程度の「手付金」が支払われるケースが一般的です。
また売り主は取引を媒介した不動産会社に対して媒介手数料の半額を支払うことになります。
STEP7 引き渡し
売買契約が済んだら、引き渡しに進みます。
不動産の引き渡し日が、不動産の所有権を売り主から買い主に移る日であることが一般的です。
引き渡し日には以下のような手続きを行うことになります。
- ・代金の決済
- ・登記の変更
- ・その他の費用の清算
- ・その他必要書類の引き渡し
- ・鍵の引き渡し
- ・媒介手数料の支払い
「代金の決済」とあるとおり、手付金を差し引いた代金が振り込まれるのもこの日です。
媒介手数料の残額もこの日に支払うのが一般的です。
引き渡しには取引を媒介した不動産会社で行うケース、買い主がローンの融資を受ける金融機関で行うケース、登記手続きを行う司法書士事務所で行うケースなどがあります。
必要な書類などは以下のとおりです。
- ・身分証明書
- ・登記済権利証または登記識別情報通知
- ・印鑑証明書(発行後3カ月以内のもの)
- ・住民票
- ・鍵一式
- ・買い主に引き継ぐ書類など
買い主に引き継ぐ書類とは、建築確認済証や境界確認書、測量図などです。
マンションの場合は建築・分譲時のパンフレットや管理規約、設備の取扱説明書・保証書なども引き渡します。
3.仲介での不動産売却に失敗しないためのポイント
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
特に不動産売却が初めてであれば不安にお思いになることも多くあるでしょう。
ここでは仲介での不動産売却に失敗しないためのポイントをお伝えします。
ポイント1 複数の不動産会社に査定を依頼する
不動産売却に失敗しないために何よりも重要なのは、複数の不動産会社に査定を依頼するということです。
不動産会社によって得意とする不動産の種類や販路などが異なるため、会社によって査定額も変わります。
一社だけに査定を依頼しそのまま進めてしまうと、
「本当はもっと高く売れたのにそれを知らずに売却してしまった……」
ということも起きかねません。
複数の不動産会社に査定を依頼し、より高値での売却を実現してくれそうな不動産会社と媒介契約を結ぶようにしましょう。
ご自分で不動産会社を探すのは大変ですが不動産一括査定サイトを利用すれば簡単に複数社に査定が依頼できます。
不動産一括査定サイトとはその名のとおり複数の不動産会社に一括査定を依頼できるサイトのことです。
広さや築年数、部屋数など売りたい不動産に関する情報と連絡先を入力するだけで、そのサイトに参加する不動産会社のなかから該当地域の不動産を取り扱える不動産会社がピックアップされます。
そのなかから査定を依頼したい不動産会社を自分でピックアップして一括で依頼できる仕組みになっています。
不動産一括査定サイトによっても参加している不動産会社の傾向が異なるので、複数の不動産一括査定サイトを利用するのが理想的だといえるでしょう。
おすすめなのは「提携会社数が多く大手から中小までさまざまな不動産会社が参加しているサイト」「自分の売りたい物件に特化したサイト」「業界最大手に査定が依頼できるサイト」の3つを組み合わせることです。
ポイント2 査定額の根拠を確認する
複数の不動産会社に査定を依頼し、査定の結果が出そろったらいよいよ不動産会社選びに進みます。
不動産ポータルサイトや国土交通省の不動産取引価格情報検索などで周辺の不動産相場を調べ査定額と見比べるのも良いでしょう。
類似の物件の価格を調べれば相場感の把握ができますよ。
査定額と相場が大きく離れていないかという点もポイントになるはずです。
「査定額が高い会社を選べば良いんじゃないの?」
と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、査定額が高ければ高いほど良いというものでもありません。
なかにはとにかく媒介契約を結ばせるために意図的に高い査定額を提示し、契約を結ぶと媒介手数料欲しさに必要以上に値下げを促して売却を急がせる悪質な不動産会社も存在します。
そのため査定額の根拠を確認することが重要なのです。
不動産会社について定めた法律「宅地建物取引業法」の第34条の2第2項においても、以下のとおり根拠を提示することが義務付けられています。
また不動産会社の担当者の対応に信頼がおけるかという点も重要なポイントです。
- ・売却活動はどのように行うのか
- ・売却したい不動産のある地域にどれくらい詳しいか
- ・他社とどのようにサービスが違うのか
- ・どれくらいの期間で買い主が見つかる見込みか
ポイント3 余裕を持ったスケジュールを立てる
仲介での売却は、一般的に3カ月〜6カ月ほどの時間がかかるといわれています。
状況によってはさらに時間がかかってしまうこともあるかもしれません。
売却を急いでいると、どうしても売り出し価格を下げるなどの妥協をせざるを得なくなってしまいます。
仲介で売却したい場合はできるだけ余裕を持って行動するのがポイントですよ。
ポイント4 掃除は丁寧に
不動産を買う側の気持ちに立ってみれば、できるだけきれいな物件を買いたいと思うのは当然のことですよね。
マンションや一戸建て住宅などの建物は、売りに出す前に徹底的に掃除を行いましょう。
特に水回りは多くの方が気になるポイントなので、丁寧に掃除しておきたいところです。
不動産会社と相談し必要に応じてハウスクリーニングなどを行うのも良いでしょう。
また暗い部屋は購入希望者の心証を悪くしてしまうので、明るい照明を取り付けておくのもポイントですよ。
ポイント5 大々的なリフォームはしない
「古い家だから、売りに出す前にリフォームをした方が良いのかな……」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし売却のために大々的なリフォームを行うことはおすすめできません。
リフォームを行ってもその分を売却価格に上乗せするのは難しいといわれています。
また中古マンションや中古住宅の購入を検討している方のなかには、購入後にリフォームをして新築よりも安く自分好みの家をつくることを目的としている方も少なくありません。
ポイント6 囲い込みに注意する
売却活動を不動産会社に任せきりにしていて、
「不動産を売りに出したのに、なかなか買い主が見つからない……」
という場合、「囲い込み」が行われていないか要注意です。
不動産会社は自社で顧客を見つけることができれば売り主からも買い主からも媒介手数料を受け取ることができます。(不動産業界では「両手仲介」または「両手取引」と呼ばれています)
そのため悪質な不動産会社は他社からの問い合わせをシャットアウトして自社の顧客から買い主を見つけようと囲い込みを行ってしまうのです。
囲い込みが行われないようにするためには、レインズの「登録証明書」を不動産会社からもらっておくことがポイントです。
レインズは不動産業者(宅地建物取引業者)向けの物件情報共有サイトですが、登録証明書に記載されたURLとパスワードを利用すれば売りに出した物件の掲載情報を確認することができます。
「公開中」「書面による購入申し込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」など、ステータスがどのようになっているかチェックしておきましょう。
売却活動中であるにもかかわらず「一時紹介停止中」になっている場合は囲い込みが行われていると考えられます。
ポイント7 内見の際は丁寧に対応する
売却活動を進めるのは不動産会社ですが、可能であれば内見に立ち会い、丁寧に対応しましょう。
内見(内覧)に売り主が対応することで実際にその不動産に住んでいた方にしか分からない魅力を伝えることができます。
日当たりの良さなど不動産自体の魅力はもちろん、近くに品ぞろえの良いスーパーがあるといった近隣の環境も気になるところでしょう。
具体的に伝えることで心証アップにつながるかもしれませんよ。
また近年ではインテリアを工夫し室内をモデルルームのように飾り付ける「ホームステージング」と呼ばれる手法も広まりつつあります。
実際に購入した後の暮らしが想像できることで購入希望者の購買意欲を高められると考えられますね。
不動産会社の担当者と相談してみましょう。
ポイント8 不動産の不具合は正直に伝える
「水回りに故障があるんだけど、言わなきゃ分からないから黙っていようかな」
うっかりこのように考えてしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、不動産の「瑕疵(かし)」を隠すのは禁物です。
このような瑕疵を隠して売却し「契約内容と異なるものを売却した」と判断できる場合、売り主は「契約不適合責任」を問われ、買い主から補修代金の支払いや代金の減額、契約解除、損害賠償などを迫られる可能性があります。
契約不適合責任に問われる可能性があるのは、売買契約書や重要事項説明書に記載されていない瑕疵が発見された場合です。
つまり事前に瑕疵があることを伝え、契約書などにしっかりと記載しておけば契約不適合責任を問われることはありません。
ポイント9 確定申告を忘れない
「売買契約と引き渡しが終われば一安心……」
と思ってしまうところですが、売却が完了したからといって安心はできません。
不動産を売却して利益(不動産譲渡所得)が出た場合、翌年に確定申告が必要となるので注意してください。
確定申告では、前年の1月1日〜12月31日の所得を翌年の2月中旬〜3月中旬に申告します。(2020年および2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け申告期間が延長されました。)
通常一社に雇用されている方は源泉徴収と年末調整がその役割を果たすため確定申告は不要ですが、譲渡益が出た場合は給与とは別に所得が発生している形になるので確定申告が必要になります。
なお譲渡益は売却価格から取得費(その不動産を買ったときの価格と諸費用)、売ったときの諸費用を差し引いて計算します。
マイホーム(居住用住宅)を売却した場合は特別控除が適用されるのでしっかりと確認しておきましょう。
また譲渡益がマイナスになった場合は確定申告は義務ではないものの、行うことで節税になる可能性があるので忘れないようにしましょう。
譲渡益がマイナスになった場合、損失分は所得と「損益通算」を行える場合があります。
確定申告についても、不動産会社の担当者に確認しておくと良いでしょう。
4.買取で不動産を売却する流れ
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産会社に直接買取を依頼する場合、売却活動を行って買い主を探す時間が不要になるので仲介よりも短期間で売却を済ませられる傾向にあります。
売却成立を急いでいる方は買取での売却がおすすめだといえるでしょう。
ここでは買取で不動産を売却する際の流れをご紹介します。
STEP1 売却に必要な書類を用意する
取引をスムーズに進めるため、まずは売却に必要な書類をできるだけ用意しておきましょう。
必要書類に関しては仲介で売却する場合と基本的に変わりはありません。
分からないことがあれば売買契約を交わす前に不動産会社の担当者に確認できますが、手元にあるものはあらかじめそろえておくのがベターだといえます。
STEP2 不動産会社に査定を依頼する
準備が整ったら不動産会社に査定を依頼します。
不動産会社によって査定額が大きく異なる場合があるので複数の不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。
会社によっては予想よりも高値を付けてくれるケースもあるかもしれませんよ。
まずは机上査定を依頼し、結果が気になった会社に訪問査定を依頼します。
STEP3 不動産会社を選ぶ
査定結果が出そろったら実際に売却する不動産会社を選びます。
仲介の場合と違い、買取の場合の査定額は買い主となる不動産会社が支払う用意のある価格です。
不動産会社としてきちんとした買取実績があることが確認できれば、査定額の高い不動産会社を選ぶのが良いでしょう。
STEP4 不動産会社と売買契約を結ぶ
不動産会社が決まったら、契約に向けて引き渡し条件の話し合いが行われるでしょう。
具体的には代金の決済や引き渡しなどのその後のスケジュールや、物件を引き渡す上での細かな条件、必要書類の確認などが含まれます。
例えば売却する不動産の中に家具や家電などの設備が残っていた場合、どちらが処分の費用を負担するのか、といった点も重要です。
確認を怠ると後から予期せぬ費用を請求されてしまう可能性もあります。
気になる点があればこのときしっかり確認しておきましょう。
諸条件が合意に至ればいよいよ売買契約です。
売買契約の際には再度契約書などの読み合わせを行い、内容を確認します。
売買契約時に必要な書類は以下のとおりです。
- ・身分証明書
- ・実印
- ・登記済権利証または登記識別情報通知
- ・印鑑証明書(発行後3カ月以内のもの)
- ・住民票
- ・固定資産税納税通知書
- ・収入印紙(契約額に応じて売買契約書に貼付)
またこのタイミングで手付金も支払われます。
STEP5 引き渡し
売買契約が締結されたら、いよいよ物件の引き渡しです。
引き渡し日にもさまざまな手続きを行うことになります。
- ・代金の決済
- ・登記の変更
- ・その他の費用の清算
- ・その他必要書類の引き渡し
- ・鍵の引き渡し
「代金の決済」とあるとおり、手付金を差し引いた代金もこの支払われます。
引き渡しは登記の変更を行う司法書士が同席することが一般的です。
必要な書類などは以下のとおりです。
- ・身分証明書
- ・登記済権利証または登記識別情報通知
- ・印鑑証明書(発行後3カ月以内のもの)
- ・住民票
- ・鍵一式
- ・その他
建築確認済証や境界確認書、測量図などは売却する不動産会社に引き継ぎます。
マンションの場合は建築・分譲時のパンフレットや管理規約、設備の取扱説明書・保証書なども引き渡します。
5.不動産売却でよくある疑問
ローン返済中や賃貸中、あるいは相続で得たなどなんらかの事情がある不動産を売却したいと考えていらっしゃる方は、このようにご自分がお持ちの不動産が売却できるのか、どうやって売却すべきなのか不安に思っていらっしゃるかもしれませんね。
ここでは不動産売却でよくある疑問にお答えします。
疑問1 ローンが残っている不動産は売却できる?
離婚などなんらかの事情でローン返済中の不動産を売却したい、と考えている方もいらっしゃるでしょう。
結論からお伝えするとローンが残っている不動産でも、売りに出すことは可能です。
ただし不動産の引き渡し日までにローンを完済し、「抵当権」を外す必要があります。
売却代金でローンが返済できない場合には返済費用を自己資金でまかなうか、「住み替えローン(買い替えローン)」を借り入れる必要があります。
詳しくは「家を売るのは住宅ローン返済中でも可能?売却までのステップを解説」の記事でご説明しています。
疑問2 賃貸中の不動産は売却できる?
賃貸中の不動産を売却する場合にはまず、今の居住者やテナントが入居したまま売却するか、退去をお願いして空き家の状態で売却するかを決めることになるでしょう。
賃貸中の不動産の借り主には、「借家権」という権利があることに注意が必要です。
つまり不動産の持ち主の都合でいきなり退去を迫ることは法律的にはできないのですね。
空き家状態で不動産を売却するためには、現在の入居者に立ち退き料を支払う必要がありますし、引っ越しに時間も要します。
一方、居住者が入居したままの売却は居住者に借家権があり買い主が不動産を好きに利用できないことから、空き家状態よりも売価は低く設定される傾向にあります。
また賃貸不動産は収益を上げるためのものですから、買い主が購入の決め手とするのは利回りであると考えられます。
査定額も利回りによって決まるものであることを把握しておきましょう。
疑問3 相続した不動産はどうやって売却すべき?
突然相続で不動産が手に入ったとき、どうして良いのか戸惑ってしまいますよね。
相続した不動産の売却には、通常の不動産売却とは異なる手続きが必要になる場合があります。
不動産を相続した際にはまず相続登記を忘れずに行いましょう。
亡くなった方の名義のままにしておくと売却したり不動産を担保にお金を借りたりすることができず、いざというときに困ってしまう可能性があります。
不動産を売却し不動産譲渡所得が発生した場合には税金がかかります。
税額の決定には所有年数やその不動産が居住用(マイホーム)であったかなどが関わってくるため、何も知らず相続してすぐに売却してしまうと多額の税金を支払わなくてはならなくなる場合があるのです。
また取得費(いくらで買ったか)が分からない場合にも、市街地価格指数という手法を使い税額を大きく抑えられるケースもあるのです。
大手の不動産会社であれば相続不動産の売却ノウハウも豊富で必要以上の税金が発生しないよう取り計らってくれると考えられます。
査定を依頼する際などに節税について相談してみましょう。
6.まとめ
不動産売却は不動産会社に買い主探しを依頼する仲介と不動産会社に不動産を売却する買取に分けられます。
買取に比べ成約価格が高い仲介が一般的ですが、売却の成立を急いでいる方や個人には購入の難しい高額物件を売却したい方、そのままでは売却が難しい古い物件を売却したい方などは買取を検討するのも良いでしょう。
不動産売却において重要なのは信頼の置ける不動産会社選びです。
不動産会社によって査定額は大きく異なる場合があるため、必ず複数の不動産会社に査定を依頼し査定結果を見比べましょう。
複数の不動産会社に自力で査定を依頼するのは手間と時間がかかってしまうため不動産一括査定サイトの利用がおすすめですよ。
また担当者の対応が丁寧で迅速であるか、きちんと納得できる説明をしてくれるかといった点も不動産会社選びのポイントにすると良いでしょう。








