ローコスト住宅と普通の注文住宅の違いは?後悔せずに家を建てるコツ
「そろそろマイホームが欲しいけど、ローコスト住宅っていくらぐらいで建てられるんだろう?」
「費用が安く済むのは嬉しいけど、それだけ品質も低いってことじゃないの……?」
というように、ローコスト住宅のリスクが気になっている方は多いでしょう。
ローコスト住宅の相場は1,000万円程度で、一般的な注文住宅に比べると約3分の1程度の費用で建てることができます。
また、当然のことながら建築基準法などの法律で定められたルールをクリアした安全な住居です。
この記事では、ローコスト住宅の費用がなぜ安く済むのか、一般的な注文住宅とは何が違うのかなどを詳しく解説していきます。
目次
1.ローコスト住宅とは?
ローコスト住宅とは、建築費用が1,000万円程度の注文住宅に対する通称です。
国土交通省発表の「令和元年度 住宅市場動向調査」によると、注文住宅を建築する際に必要となる平均的な資金は3,235万円といわれています。
つまり、ローコスト住宅は平均的な注文住宅の約3分の1程度の資金で建てられる注文住宅の一種なのです。
ローコスト住宅はあくまでも建築費用が1,000万円程度の注文住宅に対する通称で、厳密な定義はないというのが実情です。
よくある誤解なのですが、費用が安いからといって、ローコスト住宅が一般的な注文住宅より劣った住居というわけではありません。
2.ローコスト住宅の建築費用が安い4つの理由
ローコスト住宅の建築費用が一般的な注文住宅の3分の1程度で済むのは、必要最低限のコストで安全な住居を建てるための工夫が施されているからです。
具体的にどういうことなのか、これからご説明していきますね。
- 理由1 間取りの自由度が低い
- 理由2 仕入れ費を削減している
- 理由3 広告費を節約している
- 理由4 人件費を抑えている
理由1 間取りの自由度が低い
ローコスト住宅は、選べる間取りの選択肢を少なくすることで費用を下げています。
部屋数や階数が増えれば増えるほど、扉や壁の面積が増えて資材にかかるコストが上がるため、部屋数には制限がある可能性があります。
また、同じ理由から使用資材を極力減らすためには部屋の形状が四角い間取りになることがほとんどです。
したがって、ローコスト住宅の多くは1階建ての平屋となり、自分自身で家の間取りを選択する自由度は低いといえるでしょう。
理由2 仕入れ費を削減している
ローコスト住宅を建てる業者は、可能な限り仕入れ費を削減しています。
ローコスト住宅を扱っている業者は、建築費をなるべく抑えながら安全な住居を提供するためにさまざまな努力を行っています。
具体的には、同じ材料の大量生産や、最新の設備を使わないといった工夫などです。
ただし、一般的な注文住宅に比べて資材や設備がグレードダウンしてしまうことは事実のため、細かいところまでこだわりたい方は注意しておきましょう。
理由3 広告費を節約している
ローコスト住宅を扱う業者は、広告費の節約にも力を入れています。
一般的な注文住宅を扱うハウスメーカーなどは、全国ネットのテレビCMを流したり、積極的に住宅展示場に出展したりと、広告費に大きなコストをかけています。
一方、ローコスト住宅をメインに扱う業者は、ローカルネットのテレビCMを利用したり、地域限定のチラシを配布したりしています。
理由4 人件費を抑えている
ローコスト住宅を建築するハウスメーカーなどの業者は、人件費をできるだけ抑える努力もしています。
法律の基準に満たない家を建てたり、後から欠陥が見つかって訴えを起こされたりして困るのは業者自身だということは想像できますよね。
つまり人件費を抑えるといっても、手抜きをするわけではなく不必要な工数を減らしているだけなのです。
3.ローコスト住宅と一般的な注文住宅は何が違う?全7項目を比較
「それなら、ローコスト住宅と普通の注文住宅の違いは価格だけなの?」
というようにローコスト住宅と一般的な注文住宅では何が違うのか知りたい方もいらっしゃるでしょう。
結論からいうと、「建築費用」「工期(建築期間)」「間取りや構造の選択肢の幅」の3点が大きく異なります。
ローコスト住宅 | 一般的な注文住宅 | |
---|---|---|
建築費用 | 1,000万円程度 | 平均的3,000万円程度 |
工期 | 約2~3カ月 | 約3ヶ月~1年 |
間取り | 四角いシンプルな平屋 | 予算に応じて選択可 |
構造 | 木造メイン | 鉄構造 鉄骨鉄筋コンクリート など予算に応じて選択可 |
耐用年数 | 33年 (木造の場合) |
70年 (鉄構造や鉄骨鉄筋コンクリートの場合) |
耐震性 | 耐震等級3に対応可 | 耐震等級3に対応可 |
耐火性 | 年間火災件数 8,289件 (木造の場合) |
年間火災件数 6,117件 (耐火造の場合) |
3-1.建築費用
ローコスト住宅と一般的な注文住宅では、平均的な建築費用が3倍程度異なります。
ローコスト住宅の建築費用は1,000万円台といわれていますが、一般的な注文住宅の平均的な建築費用は約3,200万円程度です。
また、建築費用を坪単価で考えてみると、ローコスト住宅では30~40万円程度と示されているのに対して、一般的な注文住宅の坪単価は50万円~70万円程度といわれています。
初めて家を建てる方が坪単価から費用の全体感を掴むのは難かしいので、業者には建築費用の総額を確認するようにすると良いでしょう。
3-2.工期
ローコスト住宅は多くの場合2~3カ月程度で完成する一方、一般的な注文住宅では約3カ月~1年程度の時間がかかります。
新しい家が出来るまで、賃貸やウィークリーホテルなどで仮住まいをしなければならないケースも多いでしょう。
しかし、工期が比較的短いローコスト住宅なら仮住まい期間が短く済むため、余計なコストがかかりません。
使用資材や間取りのデザインなどこだわる場合、ハウスメーカーだけでなく設計事務所も関わることになります。
したがって、一般的な注文住宅の工期は長ければ1年以上かかる可能性もあります。
3-3.間取り
ローコスト住宅では多くの場合シンプルで四角い間取りにする必要がありますが、一般的な注文住宅では間取りを自由に選択することが可能です。
部屋数や階数が増えるとそれだけ必要な材料が増え、コストがかかります。
したがって、ローコスト住宅ではなるべく使用資材を減らすため壁や扉の少ないシンプルな四角い間取りがメインとなります。
一方、予算にもよりますが、一般的な注文住宅ではかなり自由に間取りを決めることが可能です。
フルオーダーだと、間取りはもちろん使用する壁や柱の素材まで自分で決められます。ただし、それだけ費用がかかっていまいます。
セミオーダーだと、ある程度まで業者が使用資材や間取りを設定しています。その分フルオーダーに比べて費用は低い傾向にあります。
3-4.構造
ローコスト住宅の構造は、費用を抑えるために木造がメインとなります。
一般的な注文住宅では、多くの人が鉄構造や鉄筋コンクリート造を選択しています。
言葉を変えれば、ローコスト住宅を建てようと思うと木造建築にせざるを得ないということもできるでしょう。
3-5.耐用年数
ローコスト住宅に多い木造の住居の耐用年数は33年と定められています。
一方、一般的な注文住宅でよく使用されている鉄骨造や鉄筋コンクリート造の耐用年数は70年となっています。
耐用年数は、減価償却費を計算するために定められたものです。
耐用年数を過ぎても問題なく居住することはできます。
マイホームなど居住用の不動産を購入した場合は、購入費用を耐用年数で割った金額を課税対象額から差し引ける可能性があります。
3-6.耐震性
ローコスト住宅と一般的な注文住宅は制度上大きく耐震性が異なるわけではありません。
耐震等級とは、地震に対する家の強さを示す基準のことで、3段階に定められています。
- ・耐震等級1……震度6強~7程度の地震には耐えうる強さ
- ・耐震等級2……耐震等級1の1.25倍の強さ
- ・耐震等級3……耐震等級1の1.5倍の強さ
各段階を詳しく説明すると、耐震等級1でも建築基準法はクリアしているレベルです。
耐震等級2には耐震等級1の1.25倍の強度があるとされ、「長期優良住宅」の認定基準となっています。
さらに、耐震等級3になると耐震等級1の1.5倍の強度があります。
つまり、法に定められた耐震等級という基準に則ってみると、構造によって耐震性が大きく異なるわけではないことが分かります。
3-7.耐火性
「木造のローコスト住宅だと火事に弱そう……。」
というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
そこで、実際に火災が発生した件数を構造別に見ていきましょう。
総務省発表の「平成30年版消防白書」によると、木造建築物の年間火災発生件数は8,289件であるのに対し、鉄骨造などが含まれる「耐火造」の年間火災発生件数は6,117件でした。
総務省が公表している「平成30年住宅・土地統計調査」によると、居住専用の住宅は木造が29,837,900件、木造以外の建築物が22,804,300件存在しています。
異なる集計方法の調査のため単純に比較することはできませんが、木造住宅の方が非木造住宅より約700万件程度多い一方で、火災発生件数としては約2,000件程度しか変わらないと考えることもできるでしょう。
4.ローコスト住宅のメリット
一般的な注文住宅とローコスト住宅の大きな違いは、「建築費用」「工期(建築期間)」「間取りや構造の選択肢の幅」の3点であるとお伝えしました。
まさにこの3点がローコスト住宅のメリットに繋がるのです。
-
・建築費用が安い(一般的な注文住宅の3分の1程度)
・工期が短く住み替え期間の費用を節約できる
・間取りや構造がある程度決まっている分考える手間がない
「自分の家族構成ならローコスト住宅で充分だなあ」とローコスト住宅が気になってきたら、まずは複数の業者の住宅プランを比べることから始めましょう。
ローコスト住宅の建築実績がある業者についてはこちらで詳しくまとめています。
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5.ローコスト住宅のデメリット
コストを抑えるために間取りや設備に対する制限も多く、ローコスト住宅は全ての人におすすめできる住宅ではありません。
-
・部屋の間取りを自由に決められない
・2階建てや3階建てには対応が難しい
・使用資材や設備が最新グレードのものではない
「ローコスト住宅ではなく一般的な注文住宅を検討したい!」という方は、複数のハウスメーカーなどの建築プランを比較するところから始めてみましょう。
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6.後悔せずにローコスト住宅を建てるための5つのコツ
「コストを抑えて家を建てたいけど、万が一欠陥住宅になったらどうしよう……。」
という不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
コツ1 総額費用がいくらになるか確認し資金計画を立てる
ローコスト住宅の建築費用は1,000万円程度ですが、家を建てる際は建築費用の他にもさまざまな費用がかかります。
したがって、ローコスト住宅を建てる際は事前に必要となる費用の総額を把握し、資金計画を立てることが重要となります。
総額費用を詳細に計算するのは、初めて家を買う方にとってはかなり難しい作業でしょう。
そこで、総額費用は建築を依頼する候補業者に質問し、それを踏まえて自己資産や将来の収支計画を立てるのがおすすめです。
コツ2 家の仕様を業者の担当者に細かく確認する
ローコスト住宅は、コストを抑えるためにデザインや間取りをある程度まで業者が決めているケースがほとんどです。
デフォルトの仕様で家を建てる場合の間取りがどうなっているのかは、必ず細かい点まで業者の担当者に確認しておきましょう。
ローコスト住宅を扱う業者の中には、少しでも売り上げを上げようとして顧客にさまざまなオプション設備やグレードアップを提案してくる会社もあります。
業者の提案を全て鵜呑みにしてしまうと、結果的に建築費用が2,000万円台になってしまったという事態にもなりかねません。
きちんと標準の仕様を確認し、不要なオプション仕様は追加しないようにしましょう。
コツ3 アフターフォローの内容を事前にチェックしておく
ローコスト住宅は、一般的な注文住宅に比べてアフターフォローが手薄な場合もあります。
ただし、ローコスト住宅を扱う全ての業者のアフターフォローが薄いというわけではありません。
建築後どのようなアフターフォローを受けられるのか、具体的に確認した上で業者を決めるようにするといいでしょう。
コツ4 ローコスト住宅を建てた実績のある業者を選ぶ
後悔せずにローコスト住宅を建てる上でもっとも重要なのは、実績があり信頼の置ける業者を見つけることです。
業者1 タマホーム
「タマホーム」という名前をテレビCMで聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
タマホームは年間着工数約10,000棟以上と国内でもトップクラスの販売棟数を誇っている大手企業です。
その中でも人気なのが「大安心の家」というローコスト住宅の商品です。
国の定める長期優良住宅の基準に標準仕様で対応している他、最長60年のアフター保証もついており、安全性も充分といえるでしょう。
業者2 アイフルホーム
「アイフルホーム」もローコスト住宅を手掛ける業者の中では規模の大きい会社の一つで、年間着工数は約5,000件程度です。
アイフルホームは株式会社LIXILの運営するハウスメーカーで、全国各地にフランチャイズ店舗を展開しています。
ローコスト住宅を手掛ける業者の中では実績も多くありますが、フランチャイズ展開のため、店舗によってアフターフォローの内容などが異なるケースもあるようです。
近隣に店舗がある場合は、担当者の対応やサービス内容を直接確認してみるのがおすすめです。
業者3 アイダ設計
アイダ設計は建築費1,000万円以下の超ローコスト住宅に実績のある会社です。
また、多くのローコスト住宅が平屋での対応となるのに対し、アイダ設計では二世帯住宅など間取りの選択肢が幅広いこともポイントの一つでしょう。
年間着工数は約2,000~3,000棟程度と大規模ではない業者ですが、フランチャイズ展開ではなく、全ての店舗が自社経営となっています。
業者4 レオハウス
レオハウスは以前タマホームとグループ関係にあった会社で、現在はそれぞれ独立した会社となっています。
レオハウスはデザイン性が高く女性に人気が高いことで知られていますが、実はコスパの良さにも定評があります。
年間着工数は約2,000棟弱程度ですが、フランチャイズ展開ではなく自社店舗を展開していたり、各地に展示場を持っていたりと堅実な営業を行っています。
業者5 ユニバーサルホーム
ユニバーサルホームは、ローコスト住宅に実績のあるハウスメーカーです。
最大の特徴は「地熱床システム」というユニバーサルホーム独自の暖房システムです。
地熱床システムで地熱を利用した暖房を設置すると、通常の暖房システムより光熱費を節約することが可能です。
ただし、アイフルホームと同様フランチャイズ展開のため、店舗によって細かいサービス内容は異なる可能性もあります。
コツ5 必ず複数の業者を比較する
最後に忘れてはならないのは、必ず複数の業者のプランを比較することです。
コツ4でご紹介したとおり、ローコスト住宅を扱う業者はそれぞれに特徴があります。
また、この記事で紹介した以外にもローコスト住宅を扱う業者は数多く存在しています。
「長期優良住宅の認定を受けられる家にしたい」「できる限りデザインにこだわりたい」など、あなたのリクエストに応えてくれそうな会社をいくつか絞り込んだ上で、比較するようにしましょう。
地域密着で比較的小規模な運営をしている工務店や、この記事で紹介した大手ハウスメーカーなど、ローコスト住宅を扱う業者は数多くあります。
そこで、まずはLIFULL HOME’Sのローコスト住宅一括カタログ請求を利用してみましょう。
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7.ローコスト住宅についてよくある疑問
「ローコスト住宅が安全だっていうのは分かったけど、まだちょっと不安があるなあ……。」
という方もいらっしゃるでしょう。
- 疑問1 ローコスト住宅でもローンは組める?
- 疑問2 ローコスト住宅は音漏れしない?
- 疑問3 業者と万が一トラブルになったらどうすればいい?
疑問1 ローコスト住宅でもローンは組める?
ローコスト住宅を購入する場合でも、住宅ローンを組むことは可能です。
住宅ローンには審査があるため、申し込んだからといって必ず利用できる保証はありません。
しかし、自己資金で建築費の全てを支払うことが難しい場合は、無理をせず住宅ローンの利用を検討してみましょう。
疑問2 ローコスト住宅は音漏れしない?
ローコスト住宅を検討するにあたり、音漏れの問題が気になっている方もいらっしゃるでしょう。
コストを抑えている分、一般的な注文住宅より遮音性に優れた素材を使うことが難しいのは事実でしょう。
しかし、遮音性を上げる対策として、なるべく気密性・断熱性の高い素材を使うことは可能です。
予算の範囲内でどこまで防音対策ができるか、建築を依頼する候補の業者に事前に確認しておくと安心ですね。
疑問3 業者と万が一トラブルになったらどうすればいい?
ローコスト住宅を建築するにあたり万が一業者とトラブルになってしまった場合は、以下の窓口に相談すると良いでしょう。
- ・消費生活センター(電話番号:0570-064-370)
・法テラス(電話番号:0570-078-374)
・住まいるダイヤル(電話番号:0570-016-100)
業者と契約時にトラブルになりそうな場合は「消費生活センター」、出来上がったローコスト住宅に欠陥があり訴訟の可能性もありうる場合は「法テラス」に相談しましょう。
なお、「住まいるダイヤル」は不動産専門の相談窓口のため、何か困ったことがあればまずこちらへ電話をしてみるのも一つの手です。
8.まとめ
「ローコスト住宅は費用が安い分安全性に問題があるのでは……」
という不安をお持ちの方も多くいらしたでしょう。
しかし、ローコスト住宅の費用が安い理由の多くはハウスメーカーなどの企業努力によるものです。
そして、コストを抑えているとはいえ、法律で定められた安全基準を満たすように設計されています。
間取りやデザインなどの選択肢が比較的少ないことは事実ですが、安全性の高い家を最低限のコストで作ることができるのはローコスト住宅の大きな魅力ですね。
まずはカタログを一括請求してみて、自分の予算でどんな家が建てられるのか具体的にイメージしてみると良いでしょう。
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