不動産仲介とは?契約の種類や売却までの流れ、成功のコツを徹底解説
「不動産仲介はどのようなシステムで、費用はどれくらいかかるんだろう?」
「不動産を仲介で売却すると、どんなメリットがあるのかな?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
不動産を売却する方法には仲介と買取の2通りありますが、さまざまな面でメリットが大きい仲介を選ぶのが一般的です。
しかし、仲介の手数料や印紙税など、売却のためにどのくらいの費用がかかるのか不安になる方もいらっしゃるでしょう。
また、不動産仲介と一口でいっても契約は3種類あり、それぞれに異なる性質があるため自分の条件に合ったものを適切に選ばなければなりません。
そこでこの記事では、不動産仲介の仕組みやメリット、手数料、契約の種類など不動産仲介の基礎知識を徹底解説します。
福留 正明
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目次
1.不動産売却における仲介とは
このように思っている方もいらっしゃるでしょう。
不動産売却における仲介とは、売り主と買い主を不動産会社が仲介し、不動産の売買契約を成立させることをいいます。
仲介で不動産を売却する場合、売り主と不動産会社の間で「媒介契約」を結び、依頼を受けた不動産会社が売り主に代わって売却活動をして買い主を見つけます。
売り主と買い主の間で売買契約が成立し、必要な手続きを済ませて物件を引き渡せば不動産売却の流れは完了します。
また、売買契約の締結時に不動産会社に対して仲介手数料が発生します。
仲介手数料についてはこちらで詳しく解説します。
2.仲介で売却するメリット
このような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産を売却するときには仲介だけでなく買取という方法も選択できます。
しかし、不動産売却は仲介で行われるケースが一般的です。
そこでこの章では、買取との比較や仲介を選ぶことで得られるメリットについて解説します。
メリット1 買取よりも高値が付きやすい
不動産を売却するとき、仲介の方が買取よりも高値で売れる傾向があります。
仲介の場合は不動産会社を通して買い主を見つけ物件を売却します。
売却までの期間は一般的に3~6カ月程度かかりますが、相場に近い価格で売却できるケースも少なくありません。
一方で、買取の場合は売り主と不動産会社の間で物件の売買が行われます。
仲介に比べてすぐに売却できますが、買取した物件は不動産会社にとっていわば仕入れになるため 相場の6~7割程度の価格で売却することになります。
確かに、仲介では不動産会社に対して手数料が発生します。
しかし、仲介手数料を差し引いても、買取より仲介の方が売り主の手元に残る金額は大きくなるケースがほとんどです。
高く売りたいのに買取を選んでしまうと損になるため、不動産を売るときには仲介を選ぶのが一般的です。
メリット2 不動産会社が手続きをサポート
不動産売却では買い主を見つけるだけでなく、書類の作成や契約の交渉なども行わなければなりません。
専門知識がなければ難しい手続きも多いため、不安になる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、不動産仲介を依頼すれば専門の知識を持つ不動産会社のサポートを受けることができます。
実は不動産仲介を行うには宅地建物取引業免許が必要です。
不動産会社はこれまでに培ってきた経験や知識をもとに、物件の売り出し価格の提案や契約の交渉、重要書類の作成などさまざまなサポートを行います。
3.媒介契約の種類
このような疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
不動産の仲介(媒介)を依頼するとき、売り主(または賃貸契約の貸主)と不動産会社の間で結ぶ契約のことを媒介契約といいます。
媒介契約は以下の3種類に分けられ、それぞれ性質が異なります。
- ・専属専任媒介契約
- ・専任媒介契約
- ・一般媒介契約
媒介契約の主な比較ポイントは以下の五つです。
- ・売却活動に関する報告の義務
- ・他社との同時契約
- ・レインズへの登録義務
- ・自己発見取引
- ・契約期間
レインズに登録された不動産情報は不動産会社(宅地建物取引業者)であれば閲覧できます。
そのため、媒介契約を依頼した不動産会社以外の顧客から買い主が見つかり、双方の不動産会社を通して交渉を行うケースもあります。
ただし、媒介契約の種類によってはレインズへの登録義務がないため注意が必要です。
また、不動産を売り出した後に親類や知人などから買い主が見つかり、「自己発見取引」が行われるケースも少なくありません。
媒介契約の種類によっては自己発見取引が禁じられているため、買い主のあてがあるという方は契約前にしっかり検討する必要があります。
以上を踏まえて3種類の媒介契約の詳細を確認していきましょう。
3-1.専属専任媒介契約
売却活動に関する 報告の義務 |
1週間に1回以上 |
---|---|
他社との同時契約 | 不可 |
レインズへの登録義務 | 契約から5日以内 |
自己発見取引 | 不可 |
契約期間 | 最長3カ月 |
専属専任媒介契約では、他の不動産会社と媒介契約を重複して結ぶことや、媒介契約を結んだ不動産会社以外が紹介する買い主候補との取引は禁止されています。
そのため、売り主は専属専任媒介契約を結んだ不動産会社に売却活動を一任することになりますが、契約を結んだ不動産会社にも積極的に売却活動を進めることが求められます。
具体的には、レインズへの物件情報の登録を契約締結時から5日以内に行い、売り主への売却活動の報告を1週間に1回以上行う義務が生じます。
他社との契約や自己発見取引が禁止されている専任専属媒介契約は、不動産会社にとって損のない契約であるため他の契約に比べ積極的に売却活動が行われる傾向があります。
売却活動の状況をまめに知りたいという方や自己発見取引の可能性がないという方であれば、専属専任媒介契約を選んでも良いでしょう。
3-2.専任媒介契約
売却活動に関する報告の義務 | 2週間に1回以上 |
---|---|
他社との同時契約 | 不可 |
レインズへの登録義務 | 契約から7日以内 |
自己発見取引 | 可 |
契約期間 | 最長3カ月 |
専属専任媒介契約と異なり、専任媒介契約では自己発見取引が可能です。
ご自分で買い主を見つけた場合には不動産会社を介することなく取引ができるため、仲介手数料も発生しません。
一方で、活動報告に関する報告は2週間に1回以上、レインズへの登録も契約から7日以内となっており、不動産会社に課せられる義務は専属専任媒介契約に比べて緩くなります。
なお、契約期間は専属専任媒介契約と同様の最長3カ月です。
専任媒介契約は不動産会社からの定期的な活動報告もあり、自己発見取引も可能な媒介契約であるため不動産売却の初心者におすすめです。
3-3.一般媒介契約
売却活動に関する報告の義務 | なし |
---|---|
他社との同時契約 | 可 |
レインズへの登録義務 | なし |
自己発見取引 | 可 |
契約期間 | 規定なし(3カ月が一般的) |
一般媒介契約は、複数の不動産会社と同時に結べる媒介契約です。
自己発見取引も禁止されていないため、不動産会社に売却活動を依頼しながら自分でも買い主を探すことができます。
ただし、専属専任媒介契約や専任媒介契約とは異なり、不動産会社には売り主に対する売却活動に関する報告義務やレインズへの登録義務はありません。
そのため、売却活動の状況を知るには、売り主がそれぞれの不動産会社の担当者に連絡を取り確認する必要があります。
一般媒介契約をうまく活用できれば、短期間で買い主候補を見つけたり、複数の不動産会社が見つけた候補の中からより高値で買ってくれる買い主を選べたりする可能性があります。
しかし、他の媒介契約に比べて売却活動が不透明になりやすいというリスクがあり、複数の不動産会社の担当者とのやり取りにも手間がかかるため、初心者にはあまりおすすめできません。
媒介契約の選び方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
4.不動産を仲介で売却する手順
不動産を仲介で売却する手順については、このようなことが気になりますよね。
不動産売却の手順は、以下の五つのステップに大別できます。
この章では、不動産仲介で物件を売却するときの手順を解説します。
STEP1 仲介を依頼する不動産会社を探す
不動産を売却することを決めたら、まずは仲介を依頼する不動産会社を探すことから始めましょう。
不動産仲介では不動産会社の担当者と二人三脚で売却活動を進めることになるため、売却成功のためには良い不動産会社を見つけることが必要不可欠です。
まずは売りたい物件の相場を知るために、複数の不動産会社に物件の査定を依頼しましょう。
1社の査定しか受けない場合、不動産の相場を確かめることが難しく売却時に損をしてしまうなどのリスクがあります。
そのため必ず複数の不動産会社の査定を受け、結果を比較してから媒介契約を結ぶ不動産会社を選びましょう。
また、査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
まず6~10社程度に机上査定を依頼し、査定結果が気になった2~3社に訪問査定を依頼して契約する業者を絞り込んでいくと良いでしょう。
おすすめの不動産一括査定サイトはこちら で紹介しています。
STEP2 不動産会社と仲介契約を結ぶ
仲介(媒介)を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びましょう。
不動産会社と結ぶ媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
契約の種類 | 売却活動に関する報告の義務 | 他社との同時契約 | レインズへの 登録義務 |
自己発見取引 | 契約期間 |
---|---|---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | 1週間に1回以上 | 不可 | 契約から5日以内 | 不可 | 最長3カ月 |
専任媒介契約 | 2週間に1回以上 | 不可 | 契約から7日以内 | 可 | 最長3カ月 |
一般媒介契約 | なし | 可 | なし | 可 | 規定なし(3カ月が一般的) |
ちなみに媒介契約を結ぶ際には、一般的に以下のような書類が必要です。
- ・登記簿謄本(登記事項証明書)
- ・重要事項説明書(物件購入時のもの)
- ・登記済証(権利証)
- ・購入時の売買契約書
- ・固定資産税納税通知書
- ・売却物件の図面や仕様書
また、物件によってはその他の書類が契約時に必要になるケースもあります。
例えば、マンションの部屋を売却するために媒介契約を結ぶ場合には、マンションの管理規則(使用規則、修繕費関連の書類)なども契約書類に含まれます。
STEP3 不動産会社が売却活動を行う
媒介契約の締結後、不動産会社は買い主を見つけるための売却活動を開始します。
不動産会社の担当者は不動産の売り出しポイントや情報をまとめて物件情報サイトに登録・掲載します。
また、チラシを作って近隣の住宅にポスティングしたり、買い主候補の内見の案内をしたりといった活動も行います。
不動産会社が利用する物件情報サイトには、不動産会社専用の情報サイトだけでなく誰でも閲覧できるSUUMOやLIFUL HOME‘Sなどのサイトもあります。
実際に売却活動を行うのは不動産会社ですが、どのような売却活動が行われているのか売り主も積極的に確認しておくと良いでしょう。
STEP4 買い主と売買契約を結ぶ
買い主が見つかったら、書類を用意して売買契約を交わします。
基本的に売買契約の書類は媒介契約を結んだ不動産会社が作成しますが、以下のように売り主自身が用意しなければならないものもあります。
- ・実印
- ・印鑑登録証明書
- ・登記済証(権利証)
- ・本人確認書類
また、売買契約書を交わす前には不動産会社から買い主に対して「重要事項説明」が行われます。
売却する不動産に瑕疵(水回りのトラブルや雨漏りなどの欠陥)がある場合は、売買契約を結ぶ前に売り主に対して説明を行い、その内容を契約書に記載する必要があります。
売却後に買い主から売り主に対して損害賠償請求や訴訟が行われることもありますから、必ず物件の状態は正確に不動産会社と買い主に伝えましょう。
また、売買契約を交わす際には成約価格に応じて以下のように「印紙税」がかかります。
成約価格 | 印紙税 |
---|---|
100万~500万円以下 | 2,000円 |
500万超~1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万超~5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万超~1億円以下 | 60,000円 |
1億円超 | 100,000円 |
売買契約書の内容にはしっかり目を通し、売り主にとって不利な条件ではないことを確かめてからサインしましょう。
STEP5 売却した不動産を引き渡す
売買契約が完了したら、いよいよ不動産の引き渡しです。
不動産の引き渡しは、売り主から買い主へ不動産の所有権を移す日に行うのが一般的です。
引き渡しの手続きとして当日までに以下のことが行われます。
- ・代金の決済
- ・登記の変更
- ・その他費用の清算
- ・費用書類の引き渡し
- ・物件の状態確認
- ・鍵の引き渡し
引き渡しを行う前には、不動産の代金や仲介手数料などの費用の決済をすべて完了させます。
また、不動産の所有権を正式に買い主へ移すために、司法書士などの専門家に依頼し登記の変更を行います。
登記の変更手続きにかかる費用は、司法書士への報酬として8,000~12,000円程度、登録免許税として3,000円程度が一般的です。
5.仲介手数料の上限と支払い時期
売り主と買い主の間で売買契約が締結されたとき、不動産会社に対する報酬として仲介手数料が発生します。
一般的に仲介手数料はけして安価とはいえませんから、どのくらいの金額になるのか、いつまでに用意すればいいのか不安になる方も多いでしょう。
そこでこの章では、仲介手数料の上限と支払い時期について解説します。
5-1.仲介手数料の上限
実は不動産売却で発生する仲介手数料には法律により上限が定められています。
そのため不動産会社は上限を超える仲介手数料を売り主に対して請求することはできません。
仲介手数料の割合は物件の売却価格に応じて以下のように定められています。
成約価格 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 成約価格の5% |
200万円超~400万円以下 | 成約価格の4%+2万円 |
400万円超 | 成約価格の3%+6万円 |
このように気になった方もいらっしゃるでしょう。
法律で定められているのはあくまで上限ですから、不動産会社の中には上限を下回る価格や仲介手数料0円を提示する業者も存在します。
しかし、不動産会社は売買契約が成立したときにしか報酬を受け取ることができないため、実際には上限ギリギリの仲介手数料を設定している会社がほとんどです。
売却活動にかかる諸経費は仲介手数料に含まれており、不動産会社が仲介手数料以外の手数料や報酬などを受け取ることはできません。
承諾した覚えのない費用を不動産会社が別途請求してきた場合、売り主に支払いの義務はないため注意しましょう。
5-2.仲介手数料の支払い時期
仲介手数料の支払い時期について気になるという方も多いのではないでしょうか。
仲介手数料を支払うタイミングについては上限額のように法律による規定はなく、媒介契約を結ぶときに不動産会社と売り主の間で取り決めます。
しかし、仲介手数料はあくまで売買契約成立の成功報酬ですから、売買契約が締結される前に支払わなくてはならないものではありません。
一般的なケースでは、売買契約を交わしたタイミングで仲介手数料の半額を、引き渡し完了までに残りの半額を支払います。
そのほかにも、売買契約時や物件の引き渡し時に一括で支払うケースもあります。
物件の売却代金は売買契約成立時に手付金として5~10%、物件の引き渡しまでに残りの金額が支払われるのが一般的です。
6.不動産仲介を成功させるコツ
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
特に不動産の仲介を依頼するのが初めてだという方であれば不安なことも多いでしょう。
そこでこの章では、不動産仲介を成功させるための五つのコツをご紹介します。
6-1.売却までの期間を把握する
不動産を仲介で売却するときには、不動産の引き渡しまでにかかる期間を把握しスケジュールに余裕を持って進めましょう。
不動産会社に物件を直接売却する買取とは異なり、仲介の場合は売却活動を不動産会社に依頼し買い主を見つけて売却します。
そのため、不動産仲介では売却活動開始から売買契約までに3カ月程度、売買契約から引き渡しまでに1~2カ月程度かかるのが一般的です。
売却する不動産の条件によっても異なりますが、トータルで少なくとも半年程度はかかると想定しておいた方が良いでしょう。
また、売却活動を開始する前にも不動産の査定を依頼したり、仲介を依頼する不動産会社を選んだりするための期間が必要です。
「不動産を売却する時期はまだ先だから……。」
という方でも、売却までの期間を逆算して早めに準備を始めると良いでしょう。
6-2.売り出し価格を適切に設定する
不動産を売り出すときには、相場に合った価格を設定することが重要です。
高過ぎる価格で不動産を売り出した場合、よほどのニーズがない限り買い手が付かずに売れ残ってしまいます。
長期にわたって売れ残った物件は最終的に値下げをすることになったり、場合によっては相場よりも低い価格でないと売れなくなってしまったりするケースもあります。
本来ならばすぐに買い主が見つかる物件であっても、売却までに余計な時間がかかってしまうため売り主にとって大きなデメリットになるといえるでしょう。
また、売り出し価格が安過ぎる場合にも、物件に何か問題があるのではないかという不信感を買い主候補に与えてしまうことがあります。
安く売り出すと、かえって売れにくくなるケースもあるため注意しましょう。
中古不動産を売却するときには、買い主から値引き交渉があることも少なくありません。
そのため、値引きを見越してあえて相場より少し高い価格で売り出すのも一つの手です。
6-3.複数の不動産会社の査定を受ける
不動産の売却を決めたら、まずは複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
1社だけに査定を依頼した場合、
「本来は高く売れるはずの不動産だったのに、相場を知らずに安く売却して損をしてしまった……」
「不動産の売り出し価格を高く設定しすぎたために、買い主が見つからなかった……。」
ということになりかねません。
このようなリスクを避けるために、あらかじめ複数の不動産会社の査定を受けておき相場を把握しておきましょう。
また、不動産会社と一口でいっても、得意とする物件の種類や地域、会社の規模などは大きく異なります。
6-4.査定額だけで不動産会社を選ばない
このように思う方も多くいらっしゃるでしょう。
確かに売却を依頼するなら、より高く売ってくれる不動産会社を選びたいですよね。
しかし、高い査定額を提示したからといって必ずしも良い不動産会社であるとは限らないため、査定額だけで選ぶのはおすすめできません。
むしろ他社より飛び抜けて高い査定額を提示された場合には注意が必要です。
不動産会社の中には媒介契約を結ぶためにあえて高い査定額を提示する悪質な業者も存在します。
不動産会社は売買契約を成立させるまでは仲介手数料を受け取れませんから、売却活動を開始した後に必要以上の値下げを進めて売却を急かすケースもあるのです。
実は、不動産会社は売り主に対して査定額の根拠を明らかにしなければならないと法律で定められています。
宅地建物取引業者は、前項第二号の価額(※)又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
※前項第二号の価額……当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額
不動産会社に対して査定額の根拠を尋ねるときには、きちんとした回答が得られるか、担当者の対応は誠実であるかといったことをしっかり見極めましょう。
査定額はあくまで目安であり、提示された価格での売却を保証するものではありません。
6-5.買い主の信用情報を確認する
買い主が見つかったら、売買契約を結ぶ前に必ず買い主の信用情報を確かめましょう。
不動産を購入する際、買い主は住宅ローンを組むか現金を用意して支払いを行います。
しかし、買い主が住宅ローンの審査に落ちてしまったり現金を用意できなかったりして、売買契約が成立した後に破談となるケースもあります。
売買契約がキャンセルされた場合、売り主は新たな買い主を見つけなければならず売却までに余 計な時間を費やすことになります。
このようなリスクを避けるため、不動産会社を通して買い主の年収や勤務先などの信用情報をあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
売買契約を締結したのち買い主都合で契約がキャンセルされたとき、手付金は売り主のものとなり返還義務はありません。
また、実際に支払うかは媒介契約の内容にもよりますが、仲介手数料については売買契約を締結した事実が残るため支払い義務があります。
ただし、ローン特約による契約解除がされた場合には契約自体が白紙になるため注意が必要です。
通常の破談とは異なり、ローン特約による契約解除が適用された場合には契約自体が無効となるため仲介手数料はかかりません。
しかし、買い主から受け取った手付金は全額返還しなければならないため注意が必要です。
売買契約をした後で破談にならないように、
「売却活動は不動産会社に任せているから……。」
と安心せず、売り主自身も買い主の信用情報を確かめてから売買契約を結びましょう。
7.不動産売却におすすめの一括査定サイト
仲介による不動産売却を成功させるためには、複数の不動産会社の査定を受けて相場を把握し、信頼できる不動産会社を見つけることが必要不可欠です。
売却活動を始めようとしたとき、このような疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
そんなときに便利なのが「不動産一括査定サイト」です。
不動産一括査定サイトは、その名の通り複数の不動産会社に査定を一括で依頼できるサービスのことです。
築年数や立地などの売却する不動産の簡単な情報と、売り主の個人情報をサイトのフォームに入力するだけで物件の条件に合った不動産会社を簡単に絞り込むことができます。
そのため、効率よく査定を依頼するにはタイプの異なる複数の不動産一括査定サイトを併用するのが理想的です。
ここからは、仲介で不動産を売却するときにおすすめの不動産一括査定サイトとその特徴をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
サイト名 | 参加 不動産会社数 |
特徴 | 同時査定 依頼可能数 |
運営会社 |
---|---|---|---|---|
HOME4U | 1,800社 | 大手から中小までバランス良く参加 | 最大6社 | NTTデータ スマートソーシング |
すまいValue | 6社 | 大手6社が共同で運営 | 最大6社 | 東急リバブル、住友不動産販売、三菱地所ハウスネット、三井のリハウス、小田急不動産、野村不動産ソリューションズ |
SUUMO | 不明 | 知名度No.1だから安心感も抜群 | 不明 | リクルート |
LIFULL HOME’S | 3,282社 | 参加不動産会社数最多クラス | 最大10社 | LIFULL |
イエウール | 1,900社以上 | 地方の中小規模不動産会社も多数参加 | 最大6社 | Speee |
おうちダイレクト | 8社 | 都心のマンションに強い不動産会社が中心 | 最大8社 | ヤフー、ソニーグループ |
おすすめ1 HOME4U:安心安全・実績十分の老舗サービス
参加不動産 会社数 |
1,800社 |
---|---|
同時査定依頼可能数 | 最大6社 |
査定可能不動産 | マンション一室、一戸建て、土地、ビル一室、店舗・事務所・倉庫、マンション一棟、アパート一棟、ビル一棟、その他 |
代表的な参加不動産会社 | 三井住友トラスト不動産、三菱UFJ不動産販売、みずほ不動産販売、京王不動産、CENTURY21など |
HOME4Uは2001年にサービスが開始された日本で最も歴史の古い不動産一括査定サイトです。
大手から中小まで全国の不動産会社1,800社が参加しており、都市部から地方まで幅広い地域をカバーしています。
またさまざまな種類の不動産を査定に出すことができます。
NTTデータグループの「NTTデータ スマートソーシング」という官公庁などとも取引がある企業が運営しているので、「個人情報を悪用されるのでは?」などと不安を感じている方でも安心して利用できるでしょう。
また悪質な不動産会社を排除するための独自の取り組みを行っている点も魅力的です。
同時に最大6社まで査定依頼が可能なので、きっと信頼できる不動産会社を見つけることができますよ。
おすすめ2 すまいValue:業界をけん引する大手6社が運営
参加不動産 会社数 |
6社(全国900店舗) |
---|---|
同時査定依頼可能数 | 最大6社 |
査定可能不動産 | マンション、一戸建て、土地、マンション一棟、ビル一棟、アパート一棟、その他 |
運営不動産会社 | 東急リバブル、住友不動産販売、三菱地所ハウスネット、三井のリハウス、小田急不動産、野村不動産ソリューションズ |
すまいValueは、不動産仲介を行う不動産会社のなかでも特に大手といえる6社が共同で運営を行う不動産一括査定サイトです。
東急リバブル、住友不動産販売、三菱地所ハウスネット、三井のリハウス、小田急不動産、野村不動産ソリューションズ(野村の仲介+)が運営を行っています。
参加不動産会社数は少ないものの、複数の大手不動産会社に同時に査定を依頼できるという唯一無二の特長があるため、利用価値が高いサイトだといえるでしょう。
なかにはすまいValueにしか参加していない大手不動産会社もあります。
参加不動産会社数の多い他の不動産一括査定サイトと併せてぜひ利用しておきたいサービスだといえるでしょう。
おすすめ3 SUUMO:知名度No.1だから安心感も抜群
参加不動産 会社数 |
不明 |
---|---|
同時査定依頼可能数 | 不明 |
査定可能不動産 | マンション一室、一戸建て、土地 |
代表的な参加不動産会社 | 野村不動産ソリューションズ、大京穴吹不動産、CENTURY21、京王不動産、東宝ハウスグループなど |
賃貸探しのポータルサイト「SUUMO」をご存知の方は多いのではないでしょうか。
実はSUUMOは不動産一括査定サイトも運営しているのです。
耳なじみのあるサービスだから安心感が違うといえますよね。
大手から地域に密着した中小まで、非常に幅広い不動産会社が参加しているのできっと信頼の置ける不動産会社が見つかりますよ。
売却実績や営業スタッフの人数など査定を依頼できる不動産会社に関する詳細な情報が確認できるのもうれしいポイントです。
一部地域が取扱対象外となっているのが唯一のデメリットといえますが、まずはご自分の売りたい不動産で利用ができるか気軽に確かめてみるのが良いでしょう。
おすすめ4 LIFULL HOME’S:参加不動産会社数最多クラス
参加不動産 会社数 |
3,282社 |
---|---|
同時査定依頼可能数 | 最大10社 |
査定可能不動産 | 一戸建て、土地、マンション、投資用区分マンション、投資用一棟アパート・マンション、倉庫・工場 |
代表的な参加不動産会社 | 三井住友トラスト不動産、三菱UFJ不動産販売、みずほ不動産販売、京王不動産、大成有楽不動産販売など |
HOME’S一括査定は総掲載物件数ナンバーワンの不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sが運営する不動産一括査定サイトです。
CMなどでHOME’Sの名前を聞いたことがあるという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
なんと全国3,200社を超える不動産会社が参加しており、他の不動産一括査定サイトでは不動産会社を見つけられなかった場合でもHOME’S一括査定なら信頼のおける不動産業者を見つけられる可能性が高いといえます。
またユーザーが安心して利用できるよう工夫が凝らされているのもうれしいポイントです。
HOME’Sが設けた独自の基準をクリアしている不動産会社だけが参加しており、個人情報の取り扱いも徹底されています。
きっと相性の良い不動産会社を見つけることができますよ。
おすすめ5 おうちダイレクト:都会のマンション査定におすすめ
参加不動産 会社数 |
8社 |
---|---|
同時査定依頼可能数 | 最大8社 |
査定可能不動産 | マンション、土地、一戸建て、一棟マンション・アパート、その他建物 |
参加不動産会社 | 大京穴吹不動産、大成有楽不動産販売、CENTURY21、ロイヤルハウジング、POLUS、オークラヤ住宅、京急不動産、SRE不動産(旧ソニー不動産) |
おうちダイレクトはヤフーとソニーグループが共同で運営する不動産一括査定サイトです。
おうちダイレクトを通じて査定依頼した不動産会社と仲介契約を結ぶと、Yahoo!不動産とおうちダイレクトが売却活動をサポートしてくれるという大きなメリットがあります。
ネット上で不動産を探す方が非常に多くなっている現在、Yahoo!不動産が売却活動をサポートして広告掲載を行ってくれるのはうれしいポイントですよね。
参加不動産会社の数は少ないものの、参加している不動産会社にはマンション売買を中心に都市部で事業展開している不動産会社が多いので都市部のマンションを売りたいと考えている方にはぴったりのサービスです。
また売り主のみの仲介を行う「片手仲介」専門で他社よりも高い査定額を出してくれるといわれているSRE不動産に一括査定が依頼できる唯一の不動産一括査定サイトである点も大きなメリットだといえるでしょう。
片手仲介は契約を結んだ売り主(または買い主)の利益を優先するため、片手仲介専門の不動産会社に売却を依頼した場合には高値で売れる傾向にあるといわれています。
サービスエリアは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県に限られていますが、SRE不動産に査定依頼をしたいという方も要チェックですよ。
おすすめ6 イエウール:地方の物件を売りたい方におすすめ
参加不動産 会社数 |
1,900社以上 |
---|---|
同時査定依頼可能数 | 最大6社 |
査定可能不動産 | 分譲マンション、一戸建て、土地、一棟アパート・一棟マンション、区分マンション(収益)、一棟ビル、区分所有ビル(一室)、店舗・工場・倉庫、農地、その他 |
代表的な参加不動産会社 | 三井住友トラスト不動産、みずほ不動産販売、住友林業ホームサービス、近鉄不動産、CENTURY21など |
イエウールは全国1,900社を超える不動産会社が参加する不動産一括査定サイトです。
なんといってもその強みは日本全国の幅広い不動産会社が参加していること。
誰もが知っている大手不動産会社だけでなく、地域密着型の小さな不動産会社も多数参加しています。
「大手の不動産会社の方が安心できるんじゃない?」
などと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、地域を熟知している不動産会社は独自の顧客を抱えているため高額で売却できる場合もあります。
他の一括査定サイトでは不動産会社を見つけられなかったという地方の物件でも、イエウールならぴったりの不動産会社が見つけられるかもしれません。
地方の物件の売却を考えていらっしゃる方には特にイエウールがおすすめだといえますよ。
LINE画面風で気軽に査定依頼ができる独自のサイトデザインも魅力的ですよね。
8.まとめ
不動産売却においての不動産仲介とは、不動産会社(仲介業者)が売り主と買い主の間を取り持って売買契約を成立させることをいいます。
不動産会社に仲介を依頼した場合、依頼を受けた不動産会社が売り主に代わり売却活動を行って買い主を探します。
このときに売り主と不動産会社が結ぶ契約を媒介契約といい、以下の3種類があります。
- ・専属専任媒介契約
- ・専任媒介契約
- ・一般媒介契約
売却活動の報告義務や自己発見取引についての規定など、それぞれの契約内容の違いを確認した上で自分に合う契約を結びましょう。
また、仲介手数料には法律で上限が設けられており、売買契約が成立したタイミングで支払い義務が生じます。
仲介手数料の支払い時期は媒介契約書に記載された内容をもとに決定され、売買契約を結んでから物件の引き渡しまでの間で行われます。
仲介で不動産を売却するときに最も重要なのは信頼のおける不動産会社を選ぶことだといっても過言ではありません。
売却までの期間を見越し、早めにいろいろなジャンルの不動産会社の査定を受けて相場を把握し売りたい物件の条件に合った不動産会社を見つけましょう。
1分で無料査定を依頼できます
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