借地権を売るには?売却で失敗しないためのコツと注意点を徹底解説!

「借地権は売却できるのかな?」

「借地権付きの不動産を売却するにはどうすればいいのかな?」

借地権や借地権付きの不動産を売却しようとしたとき、このように悩む方が多いのではないでしょうか。

土地も住宅もすべて自分のものである一般的な不動産とは異なり、借地権の場合は土地の所有者が別にいます。

そのため借地権を売却する際には、通常の不動産売却よりも手順やルールが複雑になります

また多くのケースでは、土地の所有者の承諾を得ることなく借地権を自由に売却することはできません。

借地権を一般的な不動産と同じように扱うと、売却できないどころかトラブルに発展するケースもあるので注意が必要です。

そこでこの記事では、借地権の売却の手順や失敗しないためのコツ・注意点などを解説します

不動産のプロ
借地権の内容や売却の手順・ルールをよく理解して、スムーズに売却を成功させましょう。

この記事の執筆者
私たちは不動産のプロフェッショナルです。
執筆者の株式会社チェスター(株)チェスター
株式会社チェスターは不動産売買や賃貸の仲介などを行う不動産会社です。特に不動産売却の取扱高は年間100億円を超え、豊富な実績があります。

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目次

1.借地権とは

そもそも借地権ってどんな権利なのかな?

借地権とは土地代を支払う代わりに地主(土地の持ち主)から土地を借りて使用する権利のことをいいます。

借地借家法(または改定前の借地法)によって定められており、主に建物の所有を目的とする場合に適用されます。

また借地権が借地人(土地の借主)にある場合、地主が持つ土地の権利のことを「底地権」といいます。

不動産のプロ
一般的に底地権を持つ土地の貸主のことを地主、借地権を持つ土地の借主のことを借地人といいます。

以下の図は借地権と底地権の関係を示したものです。

土地の所有者はあくまで底地権を持つ地主ですが、土地を使う権利は借地権を持つ借地人にあります

注意
原則、借地権を維持するには地主に地代を支払い続ける必要があります。

借地権の「土地を使う権利」と底地権の「土地を保有する権利」の両方の権利が認められているのが土地の所有権です。

借地権、底地権、所有権の関係を以下の図にまとめました。

不動産のプロ
簡単にいってしまえば、借地権と底地権を合わせた権利が土地の所有権です。

メモ
上の図のように借地権、底地権、所有権はコーヒーカップとソーサーの関係に例えられます。
カップ(借地権)とソーサー(底地権)は合わさることで、一対の食器としての価値(所有権)を持ちます。
カップとソーサーが単体では不完全であるのと同様に、借地権と底地権も単体では活用しにくくなるため、それぞれの価値は所有権より低くなるといわれています。

なお借地権は財産とみなされるため、相続することも可能です。

不動産のプロ
以上を踏まえ、まずは借地権の種類や契約の違いを確認していきましょう。

1-1.借地権には「地上権」と「賃借権」がある

借地権は「地上権」と「賃借権」の2種類に大別されます。

地上権と賃借権は何が違うの?

どちらも主に建物の所有を目的として土地を借りる権利ですが、地上権は物権、賃借権は債権とされ法的に特性が異なります

物権/債権とは
「物権」は物に対する権利のことをいいます。物を直接的かつ排他的に支配できるとされており、誰に対しても権利を主張できます。
一方で「債権」は人に対する権利です。特定の人に対してのみ一定の行為を請求できるとされ、第三者に対して権利を主張することはできません。
不動産のプロ
売却するときの条件もそれぞれ違うため、まずは自分の借地権がどちらか確かめましょう。

ここからは地上権と賃借権について詳しく解説します。

1-1-1.地上権

地上権は所有者のいる土地を使用できる権利であり、民法では物権とされています。

建物自体に権利が発生するため、地上権は地主の承諾なしでも譲渡・転貸することが可能です

また地上権には所有権のように登記をする義務があり、抵当権を設定することもできます。

メモ
不動産に関する権利は、登記を行わないと対抗力がない(法的に主張できない)とされます。

ほとんどの場合で地代が発生しますが、賃借料の定めはないため無償で貸し出されているケースもあります。

1-1-2.賃借権

賃借権は土地を借りた人が地主に対し、地代を支払うことで土地の貸し出しを請求できる権利です。

民法で債権と定められているため、地主の承諾を得なければ権利を譲渡・転貸することはできません

なお賃借権を第三者に売買する場合には、地主へ譲渡承諾料を支払うのが一般的です。

不動産のプロ
土地を直接的に支配できる地上権は地主にとってのメリットが少ないことから、実際に借地契約が行われるときには賃借権を設定するのが一般的です。

1-2.借地権の契約の種類

借地権は適用される法律と内容の違いで大きく以下の3種類に分けられます。

  • ・旧借地権
  • ・普通借地権
  • ・定期借地権

借地権に適用される法律は契約を結んだ時期によって異なり、民法改定前の借地権は「旧借地権」と呼ばれます

不動産のプロ
現在の「借地借家法」は平成4年8月に施行されており、それ以前に結んだ借地契約には旧法が適用されます。

また、現在の法律では「普通借地権」と「定期借地権」の2種類の借地権が設けられています。

ここからは借地権の契約の種類とそれぞれの特徴について解説します。

1-2-1.旧借地権

平成4年8月に現在の法律が施行されるまでに結んだ借地契約には、旧借地権が適用されます。

旧借地権は建物の構造によって、以下のように権利の存続期間や更新後の期間が異なるのが特徴です。

建物の構造 存続期間 更新後の期間
木造 ・期間の定めがある場合:20年以上
・期間の定めがない場合:30年
・期間の定めがある場合:20年以上
・期間の定めがない場合:20年
鉄筋/鉄筋コンクリート ・期間の定めがある場合:30年
・期間の定めがない場合:60年
・期間の定めがある場合:30年以上
・期間の定めがない場合:30年

存続期間の定めがある場合、契約更新を行えば借地権を存続することができます。

旧法において契約更新の決定権があるのは借地人のみであり、正当な理由がなければ地主が更新を拒否することはできません。

そのため旧法が適用されていれば、借地権の契約を更新し続ける限り半永久的に権利を存続することができます

不動産のプロ
旧法の借地権では貸した土地が永続的に地主に返却されないケースもあるため、後述する新法の借地権に比べて借地人の権利が強いといわれています。

1-2-2.普通借地権

現在の法律(借地借家法)により設定された借地権のうち、契約期間の制限がないものを普通借地権といいます

普通借地権の存続期間と契約の更新の規定は以下のようになっています。

契約の存続期間 契約更新の規定
最短30年 借地人の希望により更新可。1回目の更新は契約から20年以上経ってから、2回目以降は10年ごとに行う。

普通借地権の場合、契約期間が終わったからという理由で地主から契約を打ち切ったり更新を断ったりすることはできません

不動産のプロ
普通借地権は借地人の希望があれば更新できるため、半永久的に継続することが可能です。

なお新法では、建物の構造による存続期間や更新期間の違いは設けられていません

1-2-3.定期借地権

定期借地権は現在の法律によって規定された借地権のうち、原則として契約更新ができないものを指します。

定期借地権の特徴を以下にまとめました。

契約の存続期間 契約更新の規定
50年以上 原則、契約更新は不可。契約終了後は更地にして返還する。

契約期間が30年と規定されている普通借地権と比べ、定期借地権の最低期間は50年以上とより長い期間が設定されています

しかし更新は原則できないため、契約終了後は建物を解体して更地にしてから地主に返還しなければなりません

不動産のプロ
定期借地権は契約期間が終われば借地権を手放す義務があるため、土地を永続的に利用したい人や相続を考える人には不向きだといえます。

ここまでをまとめてみましょう。

ここまでのポイント
  • 借地権には地上権と賃借権の2種類があり、地上権ならば自由に売却できるが賃借権であれば地主の承諾を得る必要がある。
  • 借地権の契約は適用される法律や更新の有無などの違いによって、旧借地権、普通借地権、定期借地権の3種類に大別される。
  • 借地権の売却に進む前に、自分の持っている借地権の種類や契約の規定などを確かめておくと良いでしょう。

    2.借地権の売却方法

    借地権ってどうやって売却するんだろう。
    地主以外にも借地権を売却することはできるのかな?

    借地権を売却しようとしたとき、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?

    借地権の売却方法には主に以下の四つがあります。

    • 1.借地権を地主に売却する
    • 2.借地権を第三者に売却する
    • 3.等価交換を行い所有権にして第三者に売却する
    • 4.地主と協力して借地権と底地権を第三者に売却する
    不動産のプロ
    借地権を売却するとき、ほとんどのケースでは地主の承諾を得なければなりません。

    メモ
    借地権には地上権と賃借権の2種類があります。地上権の場合は地主の承諾なしで売却可能ですが、賃借権を売る場合は地主の承諾が必須です。詳細は1-1.をご確認ください。

    借地権の売却は土地や建物の条件はもちろん、地主との交渉も必要になるため状況によって選択できる売却方法が異なります。

    この章では借地権の売却方法について解説します。

    2-1.借地権を地主に売却する

    借地権は地主から買い取った権利であるため、以下の図のように地主に再度売却することも可能です

    また借地人が借地権を手放す際、地主には優先的に借地権を買い取る権利があります

    メモ
    借地借家法第19条第3項により、借地人が第三者に借地権を譲渡しようとするとき、地主が申し立てを行うことで優先的に借地権を買い受ける権利(介入権)が定められています。
    この規定により、地主は自らの土地の借地権が第三者にむやみに売却されるのを防ぐことができます。

    第三者に借地権を売られてしまうよりは、買い戻して賃借関係を消滅させる方が良いと考える地主も少なくありません。

    地主は土地の底地権を持っているため、借地権を買い戻すことで土地の所有権を得ることができます。

    一般的に所有権の方が底地権や借地権よりも扱いやすいため、地主にとって借地権を買い取るメリットは大きいといえるでしょう。

    なお借地権を地主に売却する際には、借地権のみを売る方法と借地権を建物ごと売却する方法があります。

    不動産のプロ
    借地権のみを売却する場合は更地にする必要があります。売却方法によっては解体費用がかかることを覚えておきましょう。

    2-2.借地権を第三者に売却する

    地主が借地権を買い戻さない場合には、個人や不動産会社など地主以外の第三者への売却を検討しましょう

    第三者に借地権を売却するときには、以下の図のように地主に申請して承諾を得る必要があります。

    借地権を第三者に売却する場合、個人の買い主はもちろん通常の不動産売却と同様に不動産会社に買取を依頼することもできます

    なお不動産会社を通して第三者に借地権を売るときには、借地権付き住宅として建物ごと売却するのが一般的です。

    また地主の承諾を得る際には、借地人から地主に対して譲渡承諾料を支払うのが慣例です

    譲渡承諾料とは
    譲渡承諾料は名義書換料とも呼ばれており、借地権を第三者に譲渡するときに借地人から地主に対して支払われます。法律上の定めはありませんが借地権価格の10%程度を支払うのが一般的です。

    譲渡承諾料の支払いは法的に定められているものではなく、借地権価格から導き出した水準を目安に契約条件や借地期間などを考慮して決定されます。

    しかし、地主が納得しなければ借地権を売却することはできないため、場合によっては高額の支払いが必要になることもあります。

    注意
    交渉しても売却の承諾が得られない場合には、裁判所に申し出て売却の許可を得る必要があります。
    不動産のプロ
    一般的に借地権を第三者に売却する場合、地主に買い取ってもらうより高値が付きやすいといわれています。

    2-3.等価交換を行い所有権にして第三者に売却する

    ある程度の広さがある土地の場合、借地権と地主の持っている底地権を等価交換し所有権を得てから売却する方法もあります。

    等価交換とは
    価格や価値が等しいものを相互に交換することを等価交換といいます。
    不動産業界では土地と建物、借地権と底地権などの等価交換が行われます。
    不動産のプロ
    具体的にいうと、以下の図のように借地権の一部を地主に返還する代わりに底地権の一部を取得します。

    底地権と借地権を等価交換するメリットは以下の三つです。

    • ・借地権・底地権の権利関係が解消され、土地の所有権が手に入る
    • ・所有権とすることで借地権・底地権の一方を持つより不動産の価値が上がる
    • ・所有権を持つ不動産であれば自由に利用・売却することができる

    借地権のみを保有する場合、自由に土地や建物を売ることはできませんが、所有権を持つことで自分の采配で不動産を売却できます

    また借地権と底地権の所有者が別の土地よりも、所有権のある土地の方が不動産の価値が高いとされるため、それぞれの権利を別で売るよりも高く売ることができます。

    メモ
    等価交換は借地権と底地権の交換比率など地主と借地人での交渉が多く、測量や登記の手間と費用もかかりますが、所有権となった土地は売却しやすくなるといわれています。
    不動産のプロ
    等価交換を行うときの底地権と借地権の割合は、土地の評価や価格などを参考にして地主との交渉を行い決定します。

    なお等価交換できる割合よりも多く土地を所有したい場合には、差額を支払うことで所有権を得るケースもあります。

    メモ
    個人が土地や建物などの固定資産を交換する場合、同じ種類のものであれば「固定資産の交換の特例」が適用され譲渡所得税がかかりません。
    しかし、差額を支払って得た土地に関しては等価交換に該当せず、譲渡所得税が発生するので注意しましょう。
    ※土地や建物を等価交換したときの譲渡所得税については、国土交通省ホームページの「土地建物の交換をしたときの特例」にて詳細をご確認ください。

    等価交換を行う際には不動産会社などの専門家を間に挟み、地主と交渉するのが一般的です。

    不動産のプロ
    他の売却方法に比べて少し複雑なのが難点ですが、等価交換が成功すれば所有権を得られるため買い手が付きやすく好条件での不動産取引が期待できます。

    2-4.地主と協力して借地権と底地権を第三者に売却する

    借地人と地主が協力して、借地権と底地権をセットで第三者に売却する方法もあります。

    借地権と底地権を同時に売却した場合、買い主は所有権を得ることができるため不動産の価値が高くなります

    借地権・底地権のどちらか一方のみを売却した時よりも、高額での取引が期待できるでしょう。

    しかし、借地権と底地権を一緒に売却するためには、地主との交渉や説得が必要になります

    不動産のプロ
    借地権と底地権の同時売却をすると買い手が付きやすくなりますが、地主の協力が必要になるため難易度が高いといえるでしょう。

    3.借地権を売買するメリット

    所有権ではなく借地権付きの物件を売買するメリットは何だろう?
    借地権だからこその売却の強みってあるのかな?

    土地を購入するときには借地権や底地権の一方ではなく、土地の所有権を持ちたいという人も多いでしょう。

    しかし以下のようなメリットがあるため、不動産を購入する際に所有権ではなく借地権をあえて選ぶ人もいます

    【借地権のメリット】
    • ・通常より安く不動産を購入できる
    • ・契約更新できれば半永久的に土地を使える
    • ・土地の固定資産税がかからない

    この章ではそれぞれのメリットについて詳しく解説します。

    不動産のプロ
    借地権のメリットを知って、売却活動に活かしましょう。

    3-1.通常より安く不動産を購入できる

    所有権でなく借地権を購入することで、通常より安い価格で土地を購入できます

    不動産のプロ
    不動産の条件などにより価格の設定はさまざまですが、借地権のみを購入する場合は通常の6~8割程度の価格で取引されるのが一般的です。

    借地権は定期的に地代がかかりますが、その分不動産購入時の初期費用を抑えることができます。

    所有権に比べると借地権は低価格で取引されるため、入手しやすい物件としてニーズがあります

    3-2.契約更新できれば半永久的に土地を使える

    借地権の種類によって異なりますが、契約を更新すれば半永久的に土地を使い続けることができます

    不動産のプロ
    権利の存続期間が定められていない旧借地権もしくは普通借地権の場合、借地人からの要望があれば借地契約を更新できます。詳細は1-2.をご覧ください。

    なお契約更新が認められている場合、正当な事由がない限り期限が来ても地主が一方的に借地契約を終了させることはできません。

    メモ
    地代の不払いや建物の老朽化などの理由がなければ、地主は借地人からの契約更新の申し出を拒否することはできません。
    地主が正当な事由なく更新を拒否する場合には、多額の立退料を支払って借地人の承諾を得なければならないケースもあります。

    借地契約の解除は地主にとって負担が大きいため、基本的に地代の支払いをきちんとしていれば土地を借り続けることができます

    契約期限が来ても、土地を手放す必要がないなら安心ですね。

    なお借地権は所有権と同様に相続財産であり、被相続人であれば地主からの許可を得なくても相続できます。

    3-3.土地の固定資産税がかからない

    土地にかかる固定資産税などの税金は、底地権を持つ地主が負担します

    固定資産税とは
    土地や建物などの資産を持つ場合、毎年1月1日時点の所有者に課される税金を固定資産税といいます。

    土地の権利が借地権と底地権に分かれている場合、実質的に土地を利用しているのが借地人だとしても土地の所有者はあくまで地主です。

    そのため借地人に土地の固定資産税は課されません

    借地権であれば、土地の固定資産税を支払う必要がないんですね。
    不動産のプロ
    ただし建物の所有者は借地人であるため、建物にかかる固定資産税などの税金は借地人に課されることを覚えておきましょう。

    4.借地権を売買するデメリット

    借地権のメリットは分かったけれど、デメリットもあるんじゃないの?
    借地権を持つ場合、どんなことに注意しておけばいいのかな?

    借地権には土地購入の初期費用を抑えられるなどのメリットがある一方で、あくまで借地であることから以下のようなデメリットも生じます

    【借地権のデメリット】
    • ・地代を毎月支払う必要がある
    • ・建物の増改築や売買に地主の承諾が必要になる
    • ・建て替え時に地主の承諾が必要になる
    • ・担保としての価値が低く融資を受けにくい
    不動産のプロ
    借地権を売買する際には、デメリットも把握した上で交渉を進めるとスムーズですよ。

    この章では借地権のデメリットについて解説します。

    4-1.地代を毎月支払う必要がある

    借地権を保有し土地を利用し続けるためには、地主に対して毎月地代を支払う必要があります

    所有権を得て家を建てるケースに比べると借地権の場合は初期費用を抑えられますが、その分地代として長期のコストが発生するため注意が必要です。

    不動産のプロ
    借地権の場合、たとえマイホームを建てたとしても賃貸物件のように土地の使用料が毎月発生します。

    また借地契約の期間中であっても、以下のような理由により地代が値上げされるケースもあります

    • ・土地に対する税金が変更されたとき
    • ・周辺の土地の価格変化があったとき
    • ・条件の近い周辺の土地に比べて地代に極端な差があるとき
    不動産のプロ
    地代に明確な決まりはなく、金額は地主との交渉で決定されます。住宅地の場合、固定資産税の3~5倍程度の価格が設定されるのが一般的です。

    4-2.建物の増改築や売買に地主の承諾が必要になる

    借地権を持つ土地にある建物の増改築や売買をするには、必ず土地の所有者である地主の承諾が必要です

    でも土地を利用する権利や建物の所有権は借地人にあるんでしょう?

    このような疑問を感じる方も多いでしょう。

    しかし床面積や土地の利用形態の変更などは、もともとの借地契約から逸脱する増改築とみなされ地主の承諾を得なければ行うことができません

    また、土地の所有者はあくまで地主であるため、建物の所有権が借地人にあったとしても地主の許可なく自由に売買することはできません。

    増改築の承諾を得る際には「増改築承諾料」を要求されるケースもあり、通常は更地価格の2~4%程度で決定します。

    また、借地権付きの建物を売るときには権利の譲渡が行われるため、借地権の10%の譲渡承諾料を地主に支払うのが一般的です。

    不動産のプロ
    借地に建っている建物は、所有権を持っていても自由に増改築や売買できないということを理解しておきましょう。

    注意
    交渉しても増改築の承諾が得られず、正当な理由なく地主が拒否している場合には裁判所に申し立てて承諾許可を得ることもできます。
    しかし地主との関係が悪化する可能性が高いため、時間がかかってもできるだけ話し合いで解決するのが望ましいでしょう。

    4-3.建て替え時に地主の承諾が必要になる

    借地権では建物を取り壊したり新たに立て替えたりする場合にも、地主の承諾を得る必要があります。

    不動産のプロ
    売却や増改築と同様に、建て替え時にも地主に対して承諾料を支払うのが通例です。

    メモ
    建て替え時に支払う承諾料を「建替え承諾料」といい、金額は借地契約の内容や地主との交渉により決定されます。規定はありませんが、更地価格の3~5%程度が一般的です。

    増改築と異なり、建て替えをした場合には借地契約そのものが延長されます

    借地契約が延長されることは借地人にとって大きなメリットだといえます。

    しかし借地契約を終了させたい一部の地主にとってはデメリットとなるため、建て替え時には地主の承諾がなかなか得られないケースもあり注意が必要です

    注意
    旧建物が木造などの非堅固な建物である場合、新たに建て替えるのが鉄筋コンクリートなどの堅固な物件であれば借地契約の条件変更を行う必要があります。その際、条件変更承諾料を別途請求される可能性があります。

    4-4.担保としての価値が低く融資を受けにくい

    借地に建つ物件は担保としての価値が低いため融資を受けにくいといわれています。

    通常、銀行などから融資を受ける際には土地や建物などの不動産を担保にできます。

    しかし土地の権利が借地権である場合、所有権は建物にしかなく土地は担保にならないため不動産の価値が下がります

    不動産を担保に融資を受けたいと思っても希望する金額では受理されなかったり、条件によってはローンの審査に落ちてしまったりすることも考えられます。

    不動産のプロ
    住宅ローンを組む場合など、高額の融資を受けるために借地権付きの建物を担保とする際には注意が必要です。

    5.借地権の売却に失敗しないためのコツと注意点

    借地権を売却するときには、どんなことに気を付ければいいんだろう。
    不動産のプロ
    なるべくスムーズにトラブルなく売却を成功させたいな。

    借地権を売却しようと思ったとき、このように不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    一般的な所有権と比較すると、借地権の売却は手続きやルールが複雑です

    売却の準備をしっかりしておかないとなかなか売却できなかったり、裁判に発展したりといったトラブルになることも考えられます。

    また、契約の条件や土地、物件の状況によって適切な売却方法も異なります。

    不動産のプロ
    借地権をスムーズに売却できるように、事前に重要なポイントを確認しておきましょう。

    この章では借地権の売却に失敗しないために押さえておきたいコツと注意点を紹介します。

    5-1.複数の不動産会社に査定を依頼する

    借地権の売却を決めたら、複数の不動産会社の査定を受けるのがおすすめです

    借地権の売却方法は状況により異なりますが、複数の不動産会社の査定結果を比較することで自身の持つ不動産の相場価格を把握できます

    また仲介を依頼して借地権の買い主を探す場合には、不動産会社選びも重要です。

    査定額の根拠や不動産会社の担当者の対応などを見極めて、査定の段階で信頼できる不動産会社であるかどうかを確かめておきましょう。

    注意
    不動産会社の中には契約を結ばせるためだけに高い査定額を提示する悪質な業者も存在します。
    「宅地建物取引業法」第34条の2第2項において、不動産会社には査定額の根拠を明示する義務がありますから必ず根拠を尋ねて明確な回答があるか確かめましょう。

    5-2.実績のある不動産会社に仲介を依頼する

    仲介を依頼して買い主を探す場合には、借地権の売却実績が豊富な不動産会社を選びましょう

    不動産会社によっては一般的な不動産売却の実績はあっても、借地権の売却実績が少なく取り扱いに慣れていない会社もあります

    所有権よりも借地権の方が売却の過程が複雑であり、特に地主との交渉が重要です。

    経験豊富な不動産会社に任せれば状況に合わせた提案を得られる可能性が高く、地主や買い主との交渉も進めやすいでしょう。

    不動産のプロ
    借地権に関する不動産取引は複雑であるため、交渉や権利関係の書類作成も含め一貫して実績のある不動産会社に任せるのがおすすめです。

    5-3.借地権を売却したい旨を地主に伝えておく

    借地権の売却を決めたら、まずは土地の持ち主である地主に伝えておきましょう

    借地権を売却する際、最も買取の優先順位が高いのは地主です。

    メモ
    借地借家法第19条第3項に基づき地主には「介入権」の行使が認められています。
    この規定により借地人が地主の承諾なく借地権を第三者に売却しようとしたとき、申し立てを行えば優先的に借地権を買取できます。

    第三者に土地の権利を譲渡するなら自分で買い受けたいと考える地主も多いため、借地権は地主に売却できるケースも少なくありません

    また地主が借地権を買い受けないケースでも、第三者に売却する際には地主の許可を得る必要があります

    あらかじめ地主に借地権を売却したい旨を伝えておけば、その後の交渉や売却活動をスムーズに進めやすくなるでしょう。

    注意
    地主に伺いを立てることなく売却活動を始めてしまった場合、心情的な理由から承諾を得られないケースもあるため注意が必要です。

    なお状況によっては、借地権の売却に地主の協力を得られるケースもあります

    土地の権利の一部を等価交換して借地権ではなく所有権として売却したり、地主と同時に土地の権利を売却したりする方法もあるため、実現すれば売却を有利に進めることができます。

    借地権の売却を行うには地主との交渉が必要不可欠です。

    普段から地主との良好な関係を築き、売却活動を始める前には必ず地主に伺いを立てましょう

    5-4.地主との交渉は不動産会社を間に挟んで行う

    地主と借地権に関する交渉をする際には、不動産会社を間に挟んで行うのがおすすめです。

    借地権を売却する際には、売却の承諾許可や承諾料、権利の売買、売却の方法などさまざまな交渉や地主との話し合いが必要になります。

    専門知識を持つプロに仲介を依頼すれば、借地人と地主の2者間で交渉を行うより公平性を保って話し合いを進めることができます

    地主に借地権を買い取ってもらう場合にも、不動産会社に仲介を依頼した方がいいの?

    地主が借地権の買い受けを申し出た場合にも、単純に土地を返すのではなく、行われるのはあくまで権利の売買です。

    そのため地主へ売却するケースであっても、不動産会社に仲介を依頼して売却価格や条件を事前に相談してから売買の交渉に進むのが望ましいでしょう。

    不動産のプロ
    不動産売却の専門家を間に挟むことによって、当事者間で話し合うよりもスムーズに交渉を進められるでしょう。

    6.借地権の売却手順

    そもそも借地権はどのような手順で売却すればいいんだろう?

    実際に借地権を売る前に、売却がどのような流れで進むのか知っておきたいという人もいらっしゃるでしょう。

    借地権を売却する際、買い主となるのは地主か第三者(個人、不動産会社など)のどちらかです。

    地主には優先的に借地権を買い取る権利があり、交渉すれば地主が売却相手となるケースも少なくありません。

    しかし地主が購入を希望しない場合、借地人は地主の承諾を得て借地権を第三者に売却することになります。

    通常の不動産売却のように、第三者に借地権を売却する際には不動産会社に仲介を依頼して買い主を探すのが一般的です。

    そこでこの章では、不動産仲介で借地権を売却する手順を解説します。

    STEP1 複数の不動産会社に査定を依頼する

    借地権の売却を検討し始めたら、まずは複数の不動産会社に査定を依頼しましょう

    複数の不動産会社の査定結果を比較すれば、自分の不動産のおおよその相場を知ることができます

    なお不動産の査定方法には机上査定と訪問査定の2種類があります。

    机上査定/訪問査定とは
    「机上査定」は実際の不動産を見ずにデータを基に行う査定方法で簡易査定とも呼ばれます。
    土地や間取りなどの不動産情報や過去の取引を参考にし、おおよその査定額を算出します。
    「訪問査定」とはその名の通り不動産会社の担当者が実際に物件を訪問し、詳細な査定を行う方法です。
    不動産の状態を勘案することでより正確な見積もりを算出します。

    まず売却の条件に合う不動産会社を6~10社ほどピックアップして机上査定を受け、結果や不動産会社の対応などを比較した上で2~3社選んで訪問査定を依頼すると良いでしょう。

    査定を依頼する不動産会社はどうやって見つければいいの?
    不動産のプロ
    不動産一括査定サイトを利用すれば、条件に合った不動産会社選びや査定の依頼が簡単にできますよ。

    不動産会社と一口でいっても、「地域密着型の会社」「特定の物件に特化した会社」「実績豊富な大手の会社」などその強みはさまざまです。

    不動産会社によって不動産の販路なども異なるため、査定結果にも大きな差が出るケースがあります。

    より好条件で売却できそうな不動産会社を見つけるためにも、複数の不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。

    なお、おすすめの不動産一括査定サイトは6章で紹介しています。

    注意
    不動産会社が実際に物件を訪れて査定をする「訪問査定」を行う前までには、地主の意向を確かめておくのがおすすめです。
    話を通さないうちに現地で査定を行うだけでも、地主によってはトラブルになってしまうことがあります。
    地主との交渉は不動産会社を間に挟んで行いますが、具体的な話し合いを進める前に意思確認をして筋を通しておくと無難です。
    「机上査定」を受けて信頼できそうな不動産会社が見つかったら、地主との事前交渉について相談してアドバイスをもらうと良いでしょう。

    STEP2 不動産会社に仲介を依頼する

    信頼できる不動産会社が見つかったら、仲介を依頼しましょう。

    借地権を売却する場合も、通常の不動産売却と同様に媒介契約を結びます

    媒介契約とは
    媒介契約は不動産仲介を依頼するときに売り主と不動産会社が交わす契約です。
    不動産業界では仲介のことを媒介と呼ぶため、仲介契約ではなく媒介契約といいます。

    媒介契約には以下の3種類があり、それぞれ特徴も異なります。

    【媒介契約の種類と特徴】
    ※横にスクロールできます
    契約の種類 売却活動に関する報告の義務 他社との同時契約 レインズへの
    登録義務
    自己発見取引 契約期間
    専属専任媒介契約 1週間に1回以上 不可 契約から5日以内 不可 最長3カ月
    専任媒介契約 2週間に1回以上 不可 契約から7日以内 最長3カ月
    一般媒介契約 なし なし 規定なし(3カ月が一般的)
    3種類のうちどの媒介契約を選べばいいのかな?
    不動産のプロ
    借地権の売却であれば、専属専任媒介契約か専任媒介契約がおすすめです。

    専属専任媒介契約と専任媒介契約の場合は、不動産会社から定期的な売却活動の報告を受けることができます

    また、不動産会社には物件の情報をレインズに登録することが義務付けられています

    レインズとは
    国土交通省から指定された不動産流通機構が運営する不動産の情報を交換するためのネットワークシステムです。会員となっている不動産会社のみが掲載・閲覧できます。

    定期的な活動報告があれば売却活動が不透明になりにくく、物件情報がレインズに掲載されれば売却のチャンスが増えるといわれています。

    なお一般媒介契約の場合、不動産会社には定期的な活動報告を行ったり物件情報をレインズに登録したりする義務はありません

    その代わり契約の自由度が高く、複数の不動産会社と同時に媒介契約を結ぶことが可能です。

    しかし複数の不動産会社との同時契約は、借地権の売買をする際にはおすすめできません

    一般的な所有権の不動産売却とは異なり、借地権を売る際には地主との交渉を行う必要があります。

    複数の不動産会社に同時に仲介を依頼した場合、売却活動が始まれば地主も複数社と交渉することになってしまいます。

    地主側への負担が大きくなってしまうため、借地権の売却を依頼するのは1社に絞りましょう

    不動産のプロ
    借地権の売却の場合、一般媒介契約を選ぶメリットは少ないといえます。専属専任媒介契約か専任媒介契約を選びましょう。
    専属専任媒介契約と専任媒介契約はどうやって選べばいいの?

    専属専任媒介契約と専任媒介契約の大きな違いは自己発見取引が認められているか否かです。

    自己発見取引とは
    不動産会社を介さずに自分で買い主を見つけて不動産の売買を行うことを自己発見取引といいます。

    買い主候補の心当たりがある場合には、自己発見取引が可能な専任媒介契約を選ぶと良いでしょう

    STEP3 地主と交渉をして売却の承諾を得る

    媒介契約を結んだら、不動産会社の担当者を間に挟んで地主との交渉を行いましょう

    不動産のプロ
    借地権を第三者に売却する場合には、地主からの承諾が必要不可欠です。

    交渉の仕方や条件によっては地主からの承諾がなかなか得られなかったり、高額な承諾料を要求されたりするケースもあるため話し合いは慎重に行いましょう。

    また地主との関係が良好であっても、基本的には専門知識を持つ不動産会社を間に挟んで交渉を進めるのがおすすめです。

    不動産のプロ
    借地人と地主の二者間で交渉するよりも、公平性が保たれ話し合いもスムーズに進むでしょう。

    なお地主との交渉の際には売却の承諾だけでなく、以下のポイントも話し合います。

    • ・譲渡承諾料の金額
    • ・売却後の建て替え・増築の可否
    • ・地代の取り決め

    地主との交渉の際には単に売却を認めてくれるか否かだけでなく、売却後の建て替えや増築などの条件についても話し合っておくと良いでしょう

    なお譲渡承諾料についての明確な取り決めはなく、借地権価格の10%程度が目安となります。

    メモ
    譲渡承諾料は低めに設定されることもありますが、条件や地主との関係性によっては高額な請求をされることもあります。
    交渉を上手くまとめるためにも、借地権の売却経験が豊富な不動産会社の担当者に依頼しましょう。

    STEP4 不動産会社が売却活動を行う

    地主の了承を得たら、不動産会社が売却活動を開始します

    具体的には以下のような売却活動が行われます。

    【不動産会社が行う売却活動】
    • ・レインズへの不動産情報の登録
    • ・不動産ポータルサイト(SUUMOやLIFULL HOME’Sなど)に物件情報を掲載
    • ・チラシを作成し近隣の住宅にポスティング
    • ・自社の顧客へ打診

    近年ではインターネットを利用して物件を探すケースが主流になったため、Web上でのPRは売却活動に大きく影響すると考えられます。

    一般公開されているSUUMOやLIFULL HOME‘Sなどの不動産ポータルサイトもありますから、売却したい物件がどのようにPRされているか確認しておくのがおすすめです。

    不動産のプロ
    売却活動を行うのは不動産会社ですが、任せきりにせず売り主も活動状況を積極的にチェックしましょう。

    STEP5 売り主と買い主で売買契約を結ぶ

    不動産会社が買い主を見つけたら、売り主と買い主で売買契約を結びます

    売買契約を結ぶときには以下の手続きを行います。

    【売買契約時の手続き】
    • ・買い主への重要事項説明
    • ・重要事項説明書の交付
    • ・契約書類の読み合わせ
    • ・契約書類の署名、押印
    • ・仲介手数料の支払い
    • ・手付金の支払い

    借地権を売却する際は通常とは異なり、売買契約を結んだ後に地主の承諾書を得る必要があるため停止条件付きの契約となります

    停止条件付きの契約とは
    ある不確実な事実が将来発生した場合に限り、契約などに法律的な効力が生じるという条件を停止条件といいます。
    契約に停止条件がある場合、契約が成立しても停止条件が成就するまで効力はありません。

    借地権を売却する場合、売り主と買い主は「地主の文章による承諾を得る」という停止条件付きの売買契約を結びます。

    そのため地主の承諾書を受け取るまでは契約に効力はなく、承諾書を得られなかった場合には売買契約自体が白紙になります

    なお、地主からの承諾書を得るまでは売買契約が確定しないため仲介手数料は発生しません

    契約書の作成や手続きが難しそうだなあ……。
    不動産のプロ
    仲介を依頼した場合には、書類の作成や手続きは不動産会社が行うので安心してください。

    難しい手続きや書類の作成などは不動産会社の仕事ですが、売り主自身も必ず契約書にしっかり目を通し疑問点があれば確認してから署名、押印しましょう

    STEP6 地主の合意を得て借地権譲渡承諾書を作成する

    売買契約を締結したら、地主の合意を得て借地権譲渡承諾書を取り交わしましょう

    借地権譲渡承諾書とは
    地主が借地人に対し第三者への借地権の譲渡を承諾する際、作成する正式な合意書を借地権譲渡承諾書といいます。借地権譲渡承諾書には、譲渡の承諾だけでなく建て替えに関する条件など売却活動を始める前に地主と取り決めた承諾内容をまとめて記載します。

    売り主と買い主で交わした借地権の契約は「地主の承諾を得る」という停止条件付の売買契約です。

    売買契約を結んでも停止条件を成就させるまでは契約に効力はなく、地主から借地権譲渡承諾書を受け取ることで正式に契約が成立します

    不動産のプロ
    売却活動を始める前に地主と取り決めた内容が、借地権譲渡承諾書に過不足なく反映されていることを必ず確かめましょう。

    なお借地権譲渡承諾書を受け取ったタイミングで不動産会社に支払う仲介手数料が発生します

    仲介手数料に明確な決まりはありませんが、法律で以下のように上限が定められています。

    成約価格 仲介手数料
    200万円以下 成約価格の5%
    200万円~400万円以下 成約価格の4%
    400万円超 成約価格の3%

    不動産会社は上限を超える仲介手数料やその他の費用、報酬を受け取ることはできません。

    不動産会社に対して、上限を超える支払いは発生しないということですね。

    なお仲介手数料の支払いは売買契約の締結時に半額、不動産の引き渡しが完了するまでに残りの半額を支払うのが一般的です。

    STEP7 借地権を引き渡す

    地主から借地権譲渡承諾書を受け取ったら、売買契約および地主との譲渡条件に基づいて代金の決済や費用の清算などを行い買い主に借地権を引き渡します

    借地権の引き渡しの際には以下のような手続きが行われます。

    【引き渡しの手続き】
    • ・代金の決済
    • ・費用の清算
    • ・必要書類の引き渡し
    • ・建物の登記変更
    • ・不動産の状態の確認

    売却する借地に建物がある場合、借地権の譲渡に伴って買い主に建物の所有権が移ります

    そのため建物の所有権移転登記を行う必要があります。

    メモ
    借地権の種類が賃借権の場合、登記の義務がないため一般的に借地権の登記は行われません。
    しかし、借地借家法10条1項にある救済措置により、借地権の登記がなくても借地上の建物を所有するとき第三者への対抗力を持つとされています。
    つまり借地上にある建物の所有権を登記することで借地権を証明できます。
    所有権の登記には所有者や抵当権などに関する情報が記載されます。

    なお所有権移転登記を行う際には、司法書士に依頼するのが一般的です。

    不動産のプロ
    中古住宅の所有権移転登記には固定資産税に2.0%をかけた金額の登録免許税と、必要に応じて司法書士への報酬(司法書士事務所によって異なる)がかかります。

    6.借地権の売却におすすめの不動産一括査定サイト

    そもそも借地権の売却を依頼する不動産会社はどうやって見つければいいのかな?
    不動産の査定はどうやって依頼したらいいの?

    このように気になっている方も多いのではないでしょうか?

    借地権の売却に強い不動産会社を見つけるには、不動産一括査定サイトを利用するのがおすすめです。

    不動産一括査定サイトとは、その名の通り複数の不動産会社に同時に査定を申し込めるサービスです。

    不動産のプロ
    不動産一括査定サイトを使えば、売却の条件に合った不動産会社の絞り込みや査定依頼が手軽にできます。
    でも、本当に安全なサービスなの?

    不動産一括査定サイトの多くは、独自の基準を設けて悪質な業社の排除に取り組んでいます

    つまり自力で不動産会社を探し回るよりも、騙されてしまうリスクが少なく効率も良いサービスだといえます。

    なお不動産一括査定サイトと一口でいっても、以下のようにサイトの規模や参加している不動産会社の傾向、特性などは異なります。

    「大手企業が参加するサイト」「特定の種類の不動産に特化したサイト」「地域密着型のサイト」など、不動産一括査定サイトによってさまざまな強みがあります。

    複数の不動産一括査定サイトを併用したり、目的に合わせて使い分けたりすることで売却したい物件に合った不動産会社を見つけやすくなるでしょう。

    不動産のプロ
    借地権の売却は通常の不動産売却より手順が複雑であるため、不動産一括査定サイトを利用して借地権の取り扱いに慣れた不動産会社を見つけましょう。

    ここからは借地権の売却におすすめの不動産一括査定サイトを紹介します。

    【借地権の売却におすすめの不動産一括査定サイト】
    ※横にスクロールできます
    サイト名 参加
    不動産会社数
    特徴 同時査定
    依頼可能数
    運営会社
    HOME4U 1,800社 大手から中小までバランス良く参加 最大6社 NTTデータ スマートソーシング
    すまいValue 6社 大手6社が共同で運営 最大6社 東急リバブル、住友不動産販売、三菱地所ハウスネット、三井のリハウス、小田急不動産、野村不動産ソリューションズ
    SUUMO 不明 知名度No.1だから安心感も抜群 不明 リクルート
    LIFULL HOME’S 3,200社以上 参加不動産会社数最多クラス 最大10社 LIFULL
    イエウール 1,974社以上 地方の物件にも強い 最大6社 Speee
    ※2021年9月3日時点
    ※提携不動産会社数は公式サイトに明記されているものもしくは公式サイトに掲載された提携不動産会社を当社が数えたものです。

    おすすめ1 HOME4U:安心安全・実績十分の老舗サービス

    メリット
    全国1,800社の不動産会社が参加
    NTTデータグループ運営で安心
    デメリット
    業界最大手クラスの不動産会社は参加していない
    こんな人におすすめ!
    安心感のあるサービスを利用したい方
    信頼できる不動産会社を探したい方
    参加不動産
    会社数
    1,800社
    同時査定依頼可能数 最大6社
    査定可能不動産 マンション一室、一戸建て、土地、ビル一室、店舗・事務所・倉庫、マンション一棟、アパート一棟、ビル一棟、その他
    代表的な参加不動産会社 三井住友トラスト不動産、三菱UFJ不動産販売、みずほ不動産販売、京王不動産、CENTURY21など

    HOME4Uは2001年にサービスが開始された日本で最も歴史の古い不動産一括査定サイトです

    大手から中小まで全国の不動産会社1,800社が参加しており、都市部から地方まで幅広い地域をカバーしています。

    HOME4Uではさまざまな種類の不動産の査定を申し込むことができます

    また、悪質な不動産会社を排除するための独自の取り組みも行っているため安心して利用できます

    なお官公庁などとも取引がある「NTTデータスマートソーシング」というNTTデータグループの企業が運営を行っており、個人情報の管理も徹底しています。

    査定の依頼は同時に最大6社まで可能なので、信頼できる不動産会社を効率よく見つけられるでしょう。

    おすすめ2 すまいValue:業界をけん引する大手6社が運営

    メリット
    業界トップクラスの大手6社に一括査定が依頼できる
    他の一括査定サイトでは依頼できない大手企業が参加
    デメリット
    6社以外の不動産会社には査定を依頼できない
    こんな人におすすめ!
    業界トップの不動産会社に査定を依頼したい方
    名前を知っている安心感のある会社に査定を依頼したい方
    参加不動産
    会社数
    6社(全国900店舗)
    同時査定依頼可能数 最大6社
    査定可能不動産 マンション、一戸建て、土地、マンション一棟、ビル一棟、アパート一棟、その他
    運営不動産会社 東急リバブル、住友不動産販売、三菱地所ハウスネット、三井のリハウス、小田急不動産、野村不動産ソリューションズ

    すまいValueは、不動産仲介を行う不動産会社のなかでも特に大手といえる6社が共同で運営を行う不動産一括査定サイトです。

    東急リバブル、住友不動産販売、三菱地所ハウスネット、三井のリハウス、小田急不動産、野村不動産ソリューションズ(野村の仲介+)が参加しており、一括で査定を依頼することができます。

    すまいValueにしか参加していない不動産会社もあり、複数の大手不動産会社に同時に査定を依頼できるという唯一無二の特長があるため利用価値が高いサイトだといえるでしょう。

    参加不動産会社数の多い他の不動産一括査定サイトと併せて利用するのがおすすめです。

    おすすめ3 SUUMO:知名度No.1で安心感も抜群

    メリット
    大手から中小まで幅広い不動産会社が参加
    参加している不動産会社の詳細な情報が確認できる
    デメリット
    一部地域は取扱対象外
    大手3社には査定依頼できない
    こんな人におすすめ!
    都市部の不動産を売却したい方
    まずは大手サービスを利用したい方
    参加不動産
    会社数
    不明
    同時査定依頼可能数 不明
    査定可能不動産 マンション一室、一戸建て、土地
    代表的な参加不動産会社 野村不動産ソリューションズ、大京穴吹不動産、CENTURY21、京王不動産、東宝ハウスグループなど

    賃貸探しのポータルサイト「SUUMO」は、不動産一括査定サイトも運営しています

    耳なじみのあるサービスだから安心感が違うといえますよね。

    SUUMOには大手から中小まで幅広いタイプの不動産会社が参加しており、多くの候補から条件に合う不動産会社を絞り込むことができます。

    査定を依頼できる不動産会社に関して、売却実績や営業スタッフの人数などの詳細な情報を確認できるのもうれしいポイントです。

    一部地域が取扱対象外となっているのが唯一のデメリットといえますが、売りたい不動産が対象地域にあれば気軽に利用してみると良いでしょう。

    おすすめ4 LIFULL HOME’S:参加不動産会社数最多クラス

    メリット
    3,277社の不動産会社が参加
    総掲載物件数ナンバーワンの物件サイトが運営
    デメリット
    大手3社には査定依頼できない
    こんな人におすすめ!
    地方の物件をお持ちの方
    安心感のあるサービスを利用したい方
    参加不動産
    会社数
    3,277
    同時査定依頼可能数 最大10社
    査定可能不動産 一戸建て、土地、マンション、投資用区分マンション、投資用一棟アパート・マンション、倉庫・工場
    代表的な参加不動産会社 三井住友トラスト不動産、三菱UFJ不動産販売、みずほ不動産販売、京王不動産、大成有楽不動産販売など

    HOME’S一括査定は、総掲載物件数No.1の不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sです。

    CMなどでHOME’Sの名前を聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

    HOME’S一括査定には全国3,000社を超える不動産会社が参加しています。

    他の不動産一括査定サイトでは不動産会社を見つけられなかった場合でもHOME’S一括査定なら条件に合った不動産会社を見つけやすいでしょう。

    また、ユーザーが安心して利用できるような配慮があるのもうれしいポイントです。

    参加できる不動産会社はHOME’Sが設けた独自の基準をクリアしている会社のみとなっており、個人情報の取り扱いも徹底しているため安心して利用できます。

    HOME’S一括査定なら相性の良い不動産会社を選びやすいでしょう。

    おすすめ5 イエウール:地方の物件を売りたい方におすすめ

    メリット
    全国1,974社以上の不動産会社が参加
    地方の物件も査定依頼が出せる可能性が高い
    デメリット
    大手3社には査定依頼できない
    こんな人におすすめ!
    地方の不動産を売却したい方
    運営会社 Speee
    参加不動産
    会社数
    1,974社以上
    同時査定依頼可能数 最大6社

    イエウール全国1,900社を超える不動産会社が参加している不動産一括査定サイトです。

    大手不動産会社だけでなく、日本全国の幅広いタイプの不動産会社に一括査定を依頼できるのがイエウールの最大の強みだといえるでしょう。

    また地域の傾向を熟知している不動産会社や専門性に特化した不動産会社も多く、独自の顧客を抱えているケースもあるため高額での売却が実現する可能性も高いといえます。

    他の一括査定サイトでは不動産会社を見つけられなかったという物件でも、イエウールなら条件にぴったりの不動産会社が見つけられるかもしれません。

    特に地方の借地権の売却を考えている方にはイエウールがおすすめです

    7.まとめ

    借地権の種類には「地上権」と「賃借権」があり、借地人が持つ権利の強さはそれぞれ異なります。

    地上権であれば所有権と同様に自由に売却できますが、借地権の種類が賃借権であれば売却するために地主の承諾を得なければなりません

    不動産のプロ
    土地の持ち主はあくまで地主です。売却を決めたら早い段階で地主に伝えておくとその後の交渉もしやすいでしょう。

    なお借地権の売却方法には以下の四つがあります。

    • ・借地権を地主に売却する
    • ・借地権を第三者に売却する
    • ・等価交換を行い所有権にして第三者に売却する
    • ・地主と協力して借地権と底地権を第三者に売却する

    借地権を売却する際には、地主が買い受けを申し出ることも少なくありません

    また第三者に売却する場合にも、地主の協力を得られれば等価交換して所有権として売却したり、地主と土地の権利を同時に売却したりすることもできます。

    不動産のプロ
    交渉の難易度は上がりますが、実現すれば借地権として売却するよりも好条件での取引が期待できるため提案してみても良いでしょう。

    借地権の取り扱いは通常の不動産に比べて複雑であるため、売却を成功させるためには知識と経験のある不動産会社を見つけることが重要です

    無料で使える不動産一括査定サイトを活用して条件の合う不動産会社を絞り込み、信頼できる1社を見つけましょう。

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    売り主の味方・片手仲介専門の不動産会社
    SRE不動産
    売り主の味方・片手仲介専門の不動産会社

    株式会社チェスター
    株式会社チェスター税理士法人チェスターグループの不動産会社です。年間100億円以上の売却案件を取り扱っています。グループには税理士法人の他、司法書士事務所もあり、各分野の専門家と連携してスムーズに不動産売却・購入を進められます。特に相続不動産の売却や、相続対策の不動産購入に多くの実績があります。
    取締役阿部 雅行
    取締役阿部 雅行
    宅地建物取引士二級建築士。戸建て分譲住宅の企画、不動産仲介業務、相続不動産の売買に関する業務などを経験した後、2015年に株式会社チェスターの取締役に就任。
    株式会社チェスター取締役の阿部雅行

    不動産一括査定の申し込みをする(無料)
    【査定する物件】の情報を入力してください
    都道府県が選択されていません。
    市区町村が選択されていません。
    ご指定いただいたエリアへのお問合せは、現在取り扱っておりません。
    ※下記「売却査定サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。
    上記フォームからの不動産売却査定サービスの注意点
    上記の不動産一括査定サービスは、弊社ではなく、「HOME4U」が提供しているものとなります。株式会社チェスターは、上記フォームからお客様がご入力いただいた情報を取得いたしません。「HOME4U」は、株式会社NTTデータスマートソーシングが運営を行っており、ご入力いただいた個人情報は、株式会社NTTデータスマートソーシングが管理(収集、利用、提供、委託)します。

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    チェスターのロゴ
    株式会社チェスター
    Chester Tax Co.

    事例紹介では、株式会社チェスターが不動産に関連する知識をわかりやすく解説しています。

    株式会社チェスターは、相続税を専門に取り扱う「税理士法人チェスター」のグループ会社です。

    強み

    01 【実績】
    年間100億円以上の売却案件を豊富に取り扱っている

    02 【信頼】
    相続専門 No.1 税理士事務所のグループ会社

    03 【専門性】
    複雑な税務・法務のお悩みにも対応可能

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