不動産売却時のインスペクション|売主側が行うインスペクションのメリットと注意点
インスペクションとは検査や点検の事を言い、住宅診断士の方が不動産の健康診断を行うことをホームインスペクションと言います。
ホームインスペクションを行うことで、欠陥の有無、劣化の状況や修繕にかかる費用と期間の目安などを把握することが出来ます。
売却を検討している不動産のインスペクションを行っておくことで、買い主に安心して購入してもらうことが可能になります。
今回は、インスペクションの流れや売主側がインスペクションを行うメリット、注意点についてご紹介します。
目次
1.インスペクションとは
インスペクションは住宅診断士が、欠陥の有無や劣化の状況、修繕にかかる費用と期間の目安などを把握するための検査や点検を行います。
同じような検査で「耐震診断」と間違われることがありますが、耐震診断は耐震性に対しての診断となるため、耐震以外の項目に関する検査は実施されません。細かなところまでしっかりと検査するためにはインスペクションの実施が必要となります。
1-1.インスペクションの対象箇所
戸建ての不動産の場合には主に以下の箇所の検査・点検が行われます。
1-2.3段階に分かれるインスペクションの種類
インスペクションは段階がわかれ、段階が進むほど検査や点検の内容も細かくなります。
(1)一次的インスペクション(現況検査)
一次的インスペクションでは、構造上の安全に問題がないか、通常の生活に支障をきたすような劣化がないか、目視による検査・点検が行われます。一次的インスペクションでは破壊調査は行われません。
(2)二次的インスペクション(住宅診断)
二次的インスペクションでは、破壊調査も含めた点検・検査が行われます。破壊調査とは壁を割るなどの行為を加え、内部の調査などが行われます。
(3)性能向上インスペクション
リフォームを行う前などに行われるインスペクションです。リフォームをするために、劣化の状況や性能などを検査します。性能向上インスペクションは、必要に応じて破壊調査も行われます。
2.売却する不動産のインスペクションの流れ
インスペクションの主な流れは上記の通りです。
住宅診断士等の専門家は、不動産会社に紹介してもらうことも可能ですが、ご自身で探して依頼することも出来ます。ご自身で依頼する場合には、実績があり信頼できる業者を選ぶようにしましょう。なるべく複数社から見積りを取得して比較してから決定してください。
2-1.インスペクションの必要書類
インスペクションの実施にあたり必ず上記の書類が必要という訳ではありませんが、正確に診断してもらうためにも、不動産に関する情報が記載されている書類は提出しておくようにしましょう。
2-2.インスペクションの実施にかかる期間
インスペクションの実施自体は、2~3時間程度で終了するケースが多いです。
しかし、インスペクションを依頼してから実際に検査してもらうまでに1週間程度はかかることが多いため、余裕をもって申請を行うようにしてください。
また、審査結果の書類に関しても業者によって当日なのか後日なのかが異なります。依頼先には、事前にスケジュール感を確認しておくようにしましょう。
3.不動産売却でインスペクションを行うメリット
売却する不動産にインスペクションを実施しておくことで、安心感などをアピールすることが可能となり物件の価値を向上させることが出来ます。
また、不具合の程度にもよりますが、引き渡し後の不具合等のトラブルを防ぐことが出来ます。
4.売主がインスペクションを実施する際の注意点
◆注意点1:発見された瑕疵を隠すことはしない
インスペクションを実施し、何かしらの不具合が発見された場合には、その内容を隠して売却することは出来ません。
売主側が事前に周知していた瑕疵に関しては、購入者に対して告知する必要があります。隠して売却を行った場合、瑕疵担保責任の期間を過ぎていたとしても責任を取る必要が出てくる可能性があります。
売却する不動産のインスペクションの実施は、安心感などからスムーズな売却に繋がるというメリットがある一方、瑕疵が発見された場合には、瑕疵に対する対応を取る必要があるということも理解しておく必要があります。
◆注意点2:売主側のインスペクションは信頼されないことがある
稀に、売主側の行ったインスペクションの結果を買主側が信用しないというケースがあります。
不動産を売却する側は、少しでも高く、少しでも早く売却が進むことを願っています。当然、買主側もその事は承知しています。
そのため、早く売りたいから結果をごまかしている可能性もあるのではないかという疑いを持たれてしまう可能性があります。
少しでも買主側に安心してもらうためには、不動産会社やご自身と利害関係が全く無い業者に依頼してインスペクションを実施してもらうようにしましょう。
◆注意点3:瑕疵担保責任保険の住宅診断とは異なる
不動産の売却では、瑕疵担保責任に対して保証を設けている瑕疵担保責任保険という保険があります。
この保険に加入する際に住宅検査が行われます。しかし、この住宅検査はあくまで保険加入を目的とした検査となるため、インスペクションとは別と考えておく必要があります。
5.インスペクションは絶対にしないといけない?
平成30年(2018年)の4月に宅地建物取引業法の一部が改正され、インスペクションの説明が義務化されることになりました。
法改正によって義務化された部分は「インスペクションの説明」であり、インスペクションの実施は義務ではありません。
宅地建物取引業に該当する不動産会社が下記の項目を説明することになります。
不動産会社によるインスペクションの説明が義務化されることにより、インスペクションの認知が少しずつ高くなっています。そのため、今後はインスペクション済という中古不動産が増えていくことが予想されます。
6.まとめ
売却する不動産のインスペクションは、点検・検査が済んでいる不動産として売却を進めることが出来るため、買主側に安心感を与えることが出来るなどのメリットがあります。
しかし、インスペクションによって売主側が知らなかった瑕疵などが発見された場合には、その瑕疵に対する対策を取る必要があります。
また、売主側はインスペクションを行う予定がなかった場合でも、買主側から要求されるということも考えられます。そのような場合には、買主側の要望を受け、インスペクションを実施するようにしましょう。
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