【不動産会社が教える】空き家を売却する方法!かかる費用や税金は?

「親から相続した空き家があるんだけどどうやったら売れるのかな……」

「古い家だし、更地にして売った方が良いのかな?」

使っていない家を所有していると、維持管理の手間もかかる上固定資産税を払わなければならず大変ですよね。

どうにかして手放せないかとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、空き家を売却する際にかかるコストや、税金などについて気になっているという方もいらっしゃるでしょう。

不動産売却のプロ
この記事では空き家を売却するための方法や必要となるお金、関係する税金などについてご説明します。


1.空き家は放置せず売却しよう

相続で空き家を手に入れたけれど、売ろうかどうか迷っちゃうな……。

このように空き家を売却するか迷っている方もいらっしゃるかもしれません。

結論からお伝えすると空き家は可及的速やかに売却した方が良いと考えられます。

空き家は持っているだけで固定資産税などの税金や維持費がかかってしまいます。

また管理の義務が発生し、倒壊の恐れがある場合には行政からの指導が入ることも考えられます。

住まない家に手間や時間、お金をかけるのはもったいないですよね。

さらに多くの方は空き家を相続で手に入れているのではないでしょうか。

空き家を相続して3年10カ月以内の方は売却を急いだ方が良いと考えられます。

不動産を相続する際に相続税を支払った場合、被相続人が亡くなった日(相続開始日)から3年10ヶ月以内に不動産を売却すれば、「取得費加算の特例」により売却時に発生する税金を安く抑えられる場合があるためです。

不動産売却のプロ
空き家のままで放置せず、できるだけ早く行動した方が良いといえるのですね。

なお、不動産を売却する方法は「仲介」と「買取」の2種類に大別されます。

仲介は不動産会社に依頼して買い主を探してもらう方法で、買取は不動産会社にそのまま不動産を買い取ってもらう方法です。

仲介と買取

 

不動産会社は買取を行うとその不動産をさらに別の人に売却して利益を上げなくてはならないので、仲介の方が高く売れる傾向にあります。

そのため仲介での売却の方が一般的です。

この記事でも仲介での売却をメインにご説明しますが、とにかく早く空き家を手放したい、安くても良いからできるだけ手間なく売却したい、という方は買取での売却を検討しても良いでしょう。

2.空き家を売却する方法

古い家だし、買い主が見つかるか不安……。取り壊して土地として売却した方が良いのかな?

空き家を手放す方法としては、一般的にそのまま売却するか、家を解体して土地として売りに出すかのいずれかが考えられます。

それぞれにメリット・デメリットがあるといえますが、更地にして売れなかった場合、固定資産税が高くなってしまうので一度そのまま売却を検討することがおすすめです。

空き家を売却する2つの方法についてご説明しましょう。

2-1.そのまま売却する

まず考えられるのは、手を加えることなくそのまま家を売りに出す方法です。

手を加えずに売却することで手間やコストも抑えられるかもしれません。

しかし、

「古い家だから買い手がつかないんじゃないかな……」

と不安に思った方もいらっしゃるかもしれませんね。

実は「そのまま売却する」といっても、2種類に分けられるのです。

2-1-1.中古住宅として売りに出す

比較的状態が良くそのまま住めるような家であれば、中古住宅として売りに出すのがおすすめです。

新築の家を建てたり買ったりするのではなく、中古住宅を購入して自分好みにリフォームしたいと考える方も少なくありません。

そのような需要にマッチすれば買い主が見つかると考えられるでしょう。

メリットとしては、手間やコストがかからないことが挙げられます。

ただしいつ買い主が見つかるか分からないというデメリットがあることは把握しておくべきでしょう。

売却活動中は家の状態を良好に保たなければならないので、遠方に住んでいるという方は負担に感じられるかもしれませんね。

またあまりに古かったり傷んだりしている場合には買い主が見つからない可能性もあるので、中古住宅として売りに出すかどうかは築20年を目安にすると良いでしょう。

2-1-2.古家付き土地として売りに出す

一方で、古く状態の悪い家を中古住宅として売りに出しても、なかなか売れない可能性もあります。

そこで古い家を売却したいときには、「古家付き土地」として売りに出す方法が一般的です。

明確な決まりがあるわけではありませんが、築20年を超えた家は古家と呼ばれます。

木造建ての場合法廷耐用年数は22年と定められており、一般的には築20年を超えた建物自体の価値はほとんどないといわれているのです。

居住が難しいような状態の悪い家を中古住宅として売りに出しても、ライバルとなる他の住宅に負けて売れ残ってしまう可能性が高いと考えられます。

そこで土地をメインとした古家付き土地として売りに出すことで、土地を探している方のニーズに届けられる可能性があるのです。

ただし築20年を超えていても状態や立地が良好であったり、途中でリフォームしていたりする場合には中古住宅として買い主を探せる可能性も十分にあります。

不動産売却のプロ
中古住宅として売りに出すか古家付き土地として売りに出すかの判断はその地域の不動産事情に詳しくない方には難しいといえます。まずは不動産会社に相談してみるのがおすすめです。

2-2.更地にして売却する

劣化が激しく住めないような状態の場合には空き家を取り壊し、更地にして売却する方法も考えられます。

住めない状態の家があるよりは購入すればすぐに家が建てられる更地の状態の方が買い主を見つけやすいと考えられますよね。

かかった費用は土地として売却する際の価格に上乗せできるケースが一般的です。

とはいえ家の建築方法や建材によっても大きく異なりますが、解体費用は100万円以上かかってしまうことが一般的なので、費用を用立てられない場合は難しい可能性があります。

また家の建っている土地と建っていない土地では固定資産税が大きく異なります。

家が建っている場合、更地に比べて固定資産税が最大1/6にまで減税される仕組みとなっているため、解体によって固定資産税が上がってしまうことも考えられます。

すぐに買い主が見つからなかった場合、それまでとは比べ物にならない固定資産税を払い続けることになってしまう可能性もあるのですね。

また場合によっては家を解体してしまうと、その土地にもう家屋を建てられないこともあります。

昔の法律では住宅を建てられたのに、法律が変わっていて今は家を建てられない、というケースもあり得るのです。

家を解体する前に「再建築不可の土地ではないか」を確認しておきましょう。

不動産売却のプロ
まずは自己判断せず、不動産会社に相談してみるのが良いと考えられるでしょう。

3.必ず複数の不動産会社に相談しよう

近くの不動産会社に相談すれば良いのかな?

このように思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。

不動産の売却を検討している場合、複数の不動産会社に査定を依頼することを強くおすすめします。

これは仲介であっても、買取であっても、不動産の売却の際には非常に重要なポイントです。

仲介での売却の場合、不動産会社は売り主に代わって買い主を探します。

また買取の場合には不動産会社の査定額が売り主の手に入れられる金額に直結します。

買い主が見つかるか、いくらで売れるかは不動産会社の担当者の手腕にかかっているといえるのですね。

マンションの取り扱いを得意としている不動産会社もあれば、中古戸建ての取り扱いを得意とする不動産会社もあり、査定額は不動産会社によって異なります。

「本当はもっと高く売れたのに……」

と後悔することになるのは嫌ですよね。

また空き家の売却の場合、どのように売りに出した方が良いのか、という判断も不動産会社によって異なるかもしれません。

必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、結果を比較するようにしましょう。

4.空き家を売却する流れ

空き家を売却するにはどうしたら良いの?

このように不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、空き家を売却するまでの流れをご説明しましょう。

空き家を売却する流れ

STEP1 複数の不動産会社に査定を依頼する

まずは複数の不動産会社に査定を依頼するところから始めます。

でも、複数の不動産会社に査定を依頼するなんて、面倒だな……。

このようにお考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし「不動産一括査定サイト」を利用すれば、手間も時間もかけず、簡単に複数の不動産会社に査定を依頼できるのです。

不動産一括査定サイトとは、その名のとおり複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスのことです。

売却したい家の情報と申し込む方の情報を入力するだけでその不動産を取り扱える不動産会社がリストアップされ、そのなかから査定を依頼する会社を選ぶことができます。

なお不動産査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類の方法が存在します。

机上査定は不動産の立地や築年数、間取りなどから周囲の相場をもとに査定額を概算する方法です。

訪問査定では文字どおり、不動産会社の担当者が現地を訪れ、物件の状態なども鑑みて具体的な査定を行います。

不動産一括査定サイトを通じて申し込めるのは机上査定です。

まずは10社程度に机上査定を依頼し、結果が気になった2〜3社に連絡して訪問査定を依頼するのが良いでしょう。

なお訪問査定の際は物件の状態が査定額に少なからず影響を与えるものと考えられます。

訪問査定の前に可能な限り売却したい家をきれいにしておきましょう。

査定を通じて不動産会社を慎重に選んでいきます。

不動産売却のプロ
不動産一括査定サイトにもさまざまなものがありますが、空き家の売却には以下のようなサービスがおすすめですよ。
サービス名 参加不動産会社数 ポイント
HOME4U 1,800社以上 2001年サービス開始の老舗。幅広い不動産会社が参加。
すまいValue 6社 業界大手6社の直営。大都市の空き家査定ならおすすめ。
SUUMO 非公開 知名度ナンバーワン、大手から中小まで幅広い不動産会社が参加。
HOME’S 3,175社 参加不動産会社数最多、大手不動産情報サイト運営。
イエウール 1,974社以上 地方でも不動産会社が見つかる、地域密着型の不動産会社が多数参加。
不動産会社はどうやって選んだら良いんだろう?

不動産会社を選ぶ際には査定額だけでなく、査定額の根拠や担当者の態度なども確認しましょう。

仲介の場合、査定額は「この金額で売れる」という保証のあるものではありません。

仲介会社は売り主と買い主の間で売買契約が締結されて初めて仲介手数料を受け取ることができるため、なかには相場より高い査定額で仲介契約を促し、後から売り値を下げて売買契約の締結を急がせようとする業者も存在します。

そのため査定額の根拠をしっかり確認しておいた方が良いのですね。

メモ
「宅地建物取引業法 第34条の2 第2項」において、不動産会社には査定額の根拠を提示する義務があると定められています。「宅地建物取引業者は、前項第二号の価額(※)又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。」
※前項第二号の価額……当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額

また売却活動を行う間は不動産会社の担当者と密に連絡を取り合うことになるので、担当者の態度が丁寧で信頼が置けるかといった点もチェックしておくと良いでしょう。

STEP2 仲介契約を結ぶ

実際に契約する不動産会社が決まったら、仲介契約を結びます。

専門用語では仲介契約のことを「媒介契約」といい、媒介契約は「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類に分類されます。

一般的には専任媒介契約がおすすめです。

専任媒介契約では2週間に1回不動産会社から売り主に対して売却活動に関する報告を行うことが義務付けられているので、売却活動の進捗を把握することができます。

また売り主が自身で買い主を発見した「自己発見取引」の場合には仲介手数料を支払わなくても良いというのもポイントです。

契約の種類 特徴
専属専任媒介契約 ・媒介契約を破棄するまで1社にしか売却活動を依頼できない。
・1週間に1回、不動産会社から売り主に対して売却活動に関する報告を行うことが義務付けられている。
・自己発見取引の場合にも仲介手数料が必要。
専任媒介契約 ・媒介契約を破棄するまで1社にしか売却活動を依頼できない。
・2週間に1回、不動産会社から売り主に対して売却活動に関する報告を行うことが義務付けられている。
・自己発見取引の場合、仲介手数料は不要。
一般媒介契約 ・複数の不動産会社に同時に売却を依頼することができる。
・売主に対する売却活動に関する報告の義務はない。
・自己発見取引の場合、仲介手数料は不要。

自己発見取引になる可能性がないと思われる方はより報告頻度の高い専属専任媒介契約を選んでも良いかもしれませんね。

ただし法律で義務付けられているのは報告の頻度のみで内容は各不動産会社の裁量に委ねられているので、不安な方は事前に確認しておくと良いでしょう。

一般媒介契約は複数の不動産会社に売却を依頼することが可能な一方売却活動に関する報告義務がないので進捗が不透明になりがちです。

また複数の不動産会社とやりとりする手間が生じるので不動産売却に慣れていない方にはあまりおすすめできません。

媒介契約時には以下のような書類が必要になります。

【媒介契約時に必要な書類】
  • ・身分証明書
  • ・登記済権利書または登記識別情報
  • ・間取り図
  • ・建築確認済証、検査済証
  • ・建築設計図書、工事記録書
  • ・地積測量図、境界確認書

あまり聞いたことのない書類が多く身構えてしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、契約を交わす前に不動産会社の担当者から説明があると考えられるのでご安心くださいね。

STEP3 売却活動

媒介契約を交わしたら売却活動に進み、いよいよ買い主を探します。

基本的には媒介契約を交わした不動産会社が売却活動を行いますが、売り主は売却する家の維持・管理・美化や、内見の受け入れなどの対応が必要となる場合もあります。

不動産会社の担当と相談しつつ、買い主が見つかるよう工夫を凝らしてみましょう。

また売却活動中は結んだ媒介契約の種類に応じて不動産会社からの報告が行われます。

不動産売却のプロ
特に近年はインターネット上で物件探しを行う方が多いため、ネット上で売りたい不動産がどのようにPRされているのかを確認しておくと良いでしょう。

STEP4 買い主と売買契約を交わす

買い主が見つかったら、売買契約を交わします。

売買契約の際に必要な書類は基本的には不動産会社が用意します。

一部売り主が自分で用意しなければならないものもありますが、担当者から事前に連絡があるでしょう。

売買契約書に記載されている売却条件はよく読んで理解し、売り主に不利な条件になっていないか確認してからサインするようにしましょう。

不動産売却のプロ
疑問に思った点は、どんな些細なことでも必ず担当者に確認してくださいね。

また契約と同時に買い主が売り主に売買価格の10%程度の手付金を支払うケースが一般的です。

この際、買い主から不動産会社に媒介手数料の半額を支払うことになります

手数料はいくらくらいなんだろう?

媒介手数料は法律でその上限が定められており、大抵の不動産会社は上限額の媒介手数料を受け取ることにしています。

メモ
不動産会社は事前に売り主の許可を得た特別な事情を除いて媒介手数料以外の報酬を受け取ることができないため、法定の上限より低い媒介手数料をうたっている不動産会社は人件費や広告宣伝費などを必要以上に抑えていたり、他の名目で報酬を請求しようとする悪徳業者であったりする可能性があります。

媒介手数料の上限は売却価格によって異なりますが、「売却価格が400万円超の場合は売却価格の3%+6万円」という速算式で計算が可能です。

また仲介手数料には消費税がかかるので注意してくださいね。

不動産売却のプロ
媒介手数料について詳しくはこちらで説明しています。

STEP5 売却した家を引き渡す

売買契約が結ばれたら、売却した家を買い主に引き渡します。

一般的には不動産の引き渡し日が不動産の所有権を売り主から買い主に移る日になります

引き渡し日には以下のような手続きを行うことになります。

【引き渡し日に行う手続き】
  • ・代金の決済
  • ・その他の費用の清算
  • ・費用書類の引き渡し
  • ・登記の変更
  • ・部屋の状態の確認
  • ・鍵の引き渡し など

手付金を差し引いた代金が振り込まれるのもこの日です。

また残りの媒介手数料を支払うのも引き渡しが完了し、代金が振り込まれた後のタイミングです。

5.空き家売却の際にかかる費用

空き家を売却できたら、固定資産税はかからないし代金は手に入るし良いことづくめだよね。

このようにお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、不動産を売却すると媒介手数料や売却代金に発生する税金などの費用がかかることがあります。

ここでは空き家売却にかかる費用についてご説明しましょう。

費用1 相続登記費用

相続で得た空き家を売却する際、相続のタイミングで相続登記を行なっていなかった場合には相続登記を行う必要があります。

相続登記とは相続によって不動産の所有者が変わったことを法務局に届け出る手続きです。

不動産を売却できるのはその所有者として登記されている名義人なので、空き家が以前の持ち主の名義のままになっている場合は売却する前に相続登記を行なって正式に所有者を変更しておかなければならないのですね。

相続登記の際には必要書類を手に入れるためにかかる手数料などの他、登記変更のために法務局に支払う登録免許税、司法書士に手続きを依頼した場合はその報酬が必要となります。

必要書類とその取得費用は以下のとおりです。

ただし自治体によって手数料が異なる場合もあるので参考程度に捉えてください。

書類 費用
不動産の登記事項証明書 600円
固定資産評価証明書 300円
住民票・住民票の除票 300円
戸籍謄本 450円
除籍謄本 750円
印鑑証明書 300円

登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。

また司法書士の報酬は全国的に見ておおむね6万〜7万円であることが一般的です。

費用2 媒介手数料

不動産を仲介(媒介)で売却した場合には媒介手数料がかかります。

媒介手数料は法律で上限が定められており、売却価格によって異なります。

媒介手数料の上限は以下の速算式で求めることができますよ。

売却価格 仲介手数料
200万円以下 売却価格の5%
200万円超~400万円以下 売却価格の4%+2万円
400万円超 売却価格の3%+6万円

費用3 譲渡所得税などの税金

不動産を売却して譲渡所得(利益)が生じた場合には譲渡所得税などの税金を納めなくてはなりません。

譲渡所得は、以下の式で求められます。

【譲渡所得の求め方】
  • 収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額=課税譲渡所得金額

収入金額は買い主から受け取ったお金のことです。

取得費とは、売却した不動産を得たときに支払ったお金のことを指します。

相続した家だから、取得費はなしってことになるのかな……?

このように疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実は相続した家の場合、取得費は被相続人(亡くなった方)が家を買ったときに支払った代金をもとに計算されます。

メモ
取得費は家と土地で分けて考える必要があり、時間経過によって価値が減っていくとみなされる家に関しては減価償却が行われます。

また住宅を相続した際に相続登記の費用や相続税などを支払っていれば、そのお金も取得費に含められます。

ただし、相続税を取得費に含められるのは相続開始の日の翌日から3年10カ月以内に売却した場合のみなので注意してください。

取得費が分からない場合には売却した金額の5%を取得費とすることができますが、この場合には相続人が支払った登記費用などは取得費に含められません。

譲渡費用とは、不動産の譲渡(売却)にかかった費用のことです。

具体的には不動産会社に支払った媒介手数料や印紙税などが含まれます。

また家を解体して土地として売りに出した場合には解体費も含まれます。

特別控除額は事情により異なりますが、当てはまれば収入金額から差し引くことで課税譲渡所得金額を減らし、結果として税金を少なくすることができます。

例えば一定の条件を満たした相続した家を売却した場合には最高3,000万円までを控除することができます。

メモ
詳しくは国税庁のこちらのページをご覧ください。

収入金額から諸般の費用や控除を差し引いて「課税譲渡所得」が残った場合のみ、利益があったとみなされて税金が課されます。

なお、譲渡所得税の税率は、その不動産をどれだけの期間所有していたかによって異なります

所有期間が5年以下の不動産を売った場合は5年を超えてから売った場合の倍近い税金がかかってしまうのです。

えっ、相続したばかりの家だから所有して間もないんだけどそんなに税金がかかってしまうの?

このように不安に思った方もいらっしゃるかもしれませんね。

相続した家の所有期間は非相続者(家を遺した方)の所有期間も含められるのでご安心ください。

課税譲渡所得に課される税金は所得税、住民税、復興特別所得税の3種類です。

5年以下 5年超
所得税 30% 15%
住民税 9% 5%
復興特別所得税 0.63% 0.315%
合計 39.63% 20.315%
国税庁「土地や建物を売ったとき」および「所得税のしくみ」をもとに執筆者作成

費用4 解体費用

老朽化が激しく空き家を解体して更地にして売りに出す場合は解体費用がかかります。

解体費用は家の広さや建材などによって変わりますが、木造建築の場合は1坪当たり3〜4万円が相場だといわれています。

その他に塀の解体費用や植木の処分なども発生します。

少なくとも100万円はかかると考えられるでしょう。

6.まとめ

空き家は放置せず、早めに売却するのがおすすめです。

「古い家だし、取り壊して土地にした方が良いのかな?」

と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、家の解体には100万円以上の費用が必要となる上、家が建っている状態よりも固定資産税が大きく増えてしまいます。

空き家を手放したい場合にはまずは中古住宅として売却することを検討するのが良いでしょう。

また住宅として売却するのが難しい場合には古家付き土地として売却する手もありますよ。

老朽化が進み居住が難しい、倒壊の危険性があるといった場合には解体も視野に入れなくてはなりませんが、まずはそのままの状態で売りに出せないか不動産会社に相談してみましょう

不動産売却を成功させるコツは複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼のおける不動産会社を見極めることです。

複数の不動産会社に査定を依頼するのは自力では時間も手間もかかって面倒ですが、不動産一括査定サイトを利用すれば簡単です。

不動産売却のプロ
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