住宅購入で親から援助を受ける場合の注意点は?お得な節税効果も紹介
「自己資金だけじゃ不安だから、家を買うときは両親に相談しようかな……」
といったように、住宅の購入に際して親などの親族から援助を受けたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
マイホームの購入は人生の大きなイベントですから、自分だけで資金を用意するのは少し不安に感じる部分もありますよね。
通常、相続などで親からお金を受け取る際は税金がかかってしまうのですが、実は家を買うために親から贈与を受けると節税効果があるのです。
ただ、いくら親子間とはいえお金のやり取りをする際には注意しておくべき点もあります。
1.住宅を買う際の親の援助方法
住宅購入する際に、資金が十分にない方もたくさんいらっしゃいます。
親から援助してもらうケースも多いのですが、援助してもらう場合には税金の問題など、いくつか注意点があります。
1-1.親から援助を受ける場合はお金を借りるか、贈与を受けるかのどちらか
親から資金援助を受ける場合、お金を借りる方法と贈与としてお金をもらう方法があります。
どちらにするかは両親や自分の経済状況を踏まえた上でじっくり相談して決めてみてください。
ただし、親がいずれ子供に遺産を相続させる意思があるのであれば、住宅購入目的の贈与としてお金をあげた方が節税としての効果があるため、住宅購入の際に一部財産の相続(贈与)を済ませてしまうことも検討すると良いでしょう。
お金を借りる予定の方はこのあと紹介する注意点をお読みください。
お金をもらう予定の方はこちらで紹介している節税効果を確認してみてくださいね。
2.住宅購入で親からお金を借りる場合の注意点
いくら親子の間といっても、お金を借りる場合には注意しておかなければならない点があります。
贈与の場合は税金が課せられてしまうため、贈与とみなさないよう借用書を交わしたり、トラブルを防止するため返済条件を充分に話し合ったりする必要があるんです。
詳しくはこれから解説していきますね。
2-1.親子間でも返済条件をはっきり決めておく
マイホームを購入する際に親からお金を借りる場合には、必ずしっかりと返済条件を事前に決めておくことが重要です。
また、住宅ローンを借り入れる際、自己資金の出どころとして親からいくらお金を借りているか申告を求められる可能性もあります。
親子の間だからとなんとなくで話を進めるのではなく、借入金額や返済期間、金利、返済方法などをしっかりと決めておきましょう。
2-2.借用書を作成する
親からお金を借りる場合でも、必ず借用書を交わすようにしましょう。
たとえ贈与の実態はなくても、税務署から問い合わせがあったとき、借用書がないと贈与とみなされ税金を徴収する必要が出てきてしまうかもしれないからです。
また、口約束だけでやり取りしてしまうと後々トラブルに発展していまうリスクもあります。
2-3.返済は履歴が残る銀行振り込みで行う
借用書を交わしたとしても、返済の履歴が残っていなければ形だけのものと思われてしまいます。
借りたお金を親へ返す際は、履歴が残るよう口座振込みをするようにしましょう。
口座振込みであれば、「いつ」「いくら」返済をしたか形として残るため、親からお金をもらったのではなく借りていることを証明できます。
逆に、やり取りを記録として残せない現金の手渡しはおすすめできません。
税務署から尋ねられた場合、返済しているという証拠をきちんと示せるようにしておきましょう。
3.住宅購入目的の贈与なら節税効果が大きい!詳しい仕組みを解説
マイホーム購入にあたり、親などから資金援助を受けたいとお考えの方にとって今はチャンスです。
なぜなら、贈与税非課税枠の拡大により、大抵の援助額には贈与税がかかりません。
住宅購入は、課税額を押さえて贈与を受けることができる絶好の機会といえるでしょう。
3-1.一般住宅は最大1,000万円の贈与が非課税になる
通常、親族や知人などから財産をもらった場合は、金額によって贈与税がかかりますが、住宅購入を目的とした贈与には大きな非課税枠が設けられています。
一般的な贈与の場合、110万円を超える場合は贈与税がかかります。
ただし、住宅取得を目的とした贈与に関しては、2015年から非課税枠が大幅に拡大されており、現在は一般の住宅であれば最大1,000万円の非課税枠の適用となっています。
契約時期 | 非課税枠 |
---|---|
2019年4月1日〜2020年3月31日 | 2,500万円 |
2020年4月1日〜2021年3月31日 | 1,000万円 |
2021年4月1日〜2021年12月31日 | 700万円 |
契約時期 | 非課税枠 |
---|---|
2016年1月1日〜2020年3月31日 | 700万円 |
2020年4月1日〜2021年3月31日 | 500万円 |
2021年4月1日〜2021年12月31日 | 300万円 |
3-2.耐震性や省エネ性に優れた住宅なら最大1,500万が非課税になる
耐震、省エネ性、バリアフリー性など、一定の基準を満たした住宅には、通常の住宅よりも大きな非課税枠が設定されています。
2020年4月現在では、なんと最大1,500万円の非課税枠が適用されるのです。
契約時期 | 非課税枠 |
---|---|
22019年4月1日〜2020年3月31日 | 3,000万円 |
2020年4月1日〜2021年3月31日 | 1,500万円 |
2021年4月1日〜2021年12月31日 | 1,200万円 |
契約時期 | 非課税枠 |
---|---|
2016年1月1日〜2020年3月31日 | 1,200万円 |
2020年4月1日〜2021年3月31日 | 1,000万円 |
2021年4月1日〜2021年12月31日 | 800万円 |
仮に、親から住宅取得資金として1,200万円をもらったとすると、贈与税の非課税枠がなければ250万円近くの税金がかかります。
しかし、取得する住宅が耐震性や省エネ性、バリアフリー性などの基準を満たした住宅であれば、非課税枠が1,200万円なため、贈与税はかかりません。
3-3.非課税額をこえる場合は税金の支払い時期をずらす方法も
親からの贈与が「住宅取得等資金の贈与税非課税限度額」を超える人には、「相続時精算課税制度」を活用することで税金を払う時期をずらすことができます。
詳しくはこれからご説明していきます。
3ー3ー1.贈与の際に活用できる「相続時精算課税制度」
マイホームを購入する際に親から資金をもらう場合は、「相続時精算課税制度」により贈与税の支払いを先延ばしにすることが可能です。
相続時精算課税制度の利用条件に当てはまる場合は2,500万円までは贈与税の支払時期をずらすことができます。
そのため、親から贈与税非課税拡大枠の最大1,000万円、もしくは1,500万円を超える場合の高額な資金援助を受けるときでも、贈与税の負担を減らして、効率よく頭金に充当することが可能です。
- ・2,500万円までは非課税で贈与ができ2,500万円を超える部分は20%の贈与税がかかる
- ・相続時には贈与財産と相続財産を合算して支払い済みの贈与税は相続税から控除される
- ・60歳以上の親から20歳以上の子に贈与する場合に適用可
3ー3ー2.相続時精算課税制度の注意点
相続時精算課税制度を利用する際に注意しなければならないのが、贈与を受けた際は贈与税を支払う必要はありませんが、贈与した人が亡くなったときは生前贈与した財産も一緒に相続税が課税されることです。
たとえば、1億円の資産を持っている人が、法定相続人である子供に対して、相続時精算課税制度を使って2,500万円を贈与したとします。
相続時精算課税制度は2,500万円まで贈与の際の贈与税はかかりません。
これにより、贈与した人の財産は1億円−2,500万円で残りが7,500万円となり、贈与を受けた子供は贈与税0円で2,500万円の資金援助を受け、住宅購入の資金に活用できます。
しかし、仮に贈与した人が亡くなった場合には、贈与した人の手元に残っていた「財産の7,500万円+生前贈与の2,500万円=1億円」に対して相続税が一気に課税されます。
つまり、相続時精算課税制度は贈与時には2,500万円まで非課税となりますが、相続が起きた場合は支払をしていなかった分も精算して課税する制度です。
4.まとめ
マイホームは大きな買い物のため、自分だけで資金を用意することが難しい方は多くいらっしゃいます。
住宅ローンの借入額を少しでも減らし、将来の負担を軽くするためにも、まずは親に援助を頼めないか相談してみましょう。
住宅の購入目的で贈与されるお金には非課税枠があり、それ以外のタイミングで贈与するよりも税金を節約することが可能なのです。
いつか子どもに資産を残すことを考えている親の立場から考えても、子どもの税負担が軽くなるときに贈与をしてあげたいと感じるのではないでしょうか。
贈与だけでなく、お金を借りるという方法もあります。