住宅ローンのつなぎ融資を利用したいけれど、
「金利はどれくらいなんだろう?」
「つなぎ融資をお得に活用するにはどうしたらいいのかな?」
といった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
つなぎ融資は、住宅ローンの融資を受ける前に必要となる資金を用意するための一時的なローンです。
一般的につなぎ融資の金利は高めに設定されていることが多いといえます。
この記事では、つなぎ融資の仕組みからつなぎ融資を利用する際の注意点、つなぎ融資を賢く使うための方法まで詳しく解説していきます。
1.つなぎ融資とは?
「そもそもつなぎ融資って何?」
と気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
つなぎ融資とは、住宅ローンの融資を受ける前に必要な資金を用意するための仕組みです。
つなぎ融資が必要となるのは主に注文住宅を建てる方と財形住宅融資を利用する方です。
注文住宅を購入する場合、物件が完成する前に、土地の購入代金や工事の着工金、建物の中間金などを支払う必要があります。
着工金や中間金などは、物件価格の10〜30%ほどにもなります。
さらに、土地の購入代金も合わせると、かなり大きな金額を用意しなければならないのです。
- ・土地購入費用
- ・土地の登記費用
- ・工事請負契約書の印紙代
- ・地盤調査費用
- ・建築確認申請費用
- ・着工金
- ・中間金
しかし、住宅ローンの融資は基本的に物件が完成してから行われるため、住宅ローンを物件完成前の支払いに充てることはできません。
財形住宅融資を利用する場合でも、融資を受けられるのは抵当権設定の登記をした後です。
そこで、自己資金で物件完成前の支払いで賄うことができない場合には、住宅ローンが下りるまでの間をつなぐ「つなぎ融資」を利用することになります。
借りたつなぎ融資は、住宅ローン/財形住宅融資の融資が下りたときに返済します。
2.つなぎ融資は金利が高い?
「つなぎ融資は金利が高いって聞いたけど本当?」
と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かにつなぎ融資の金利は住宅ローンの金利よりは高めに設定されています。
つなぎ融資の金利は2〜4%程度が一般的です。
つなぎ融資の利子は日割りで計算されます。
例えば、3,000万円の融資を3%の金利で60日間借り入れた場合の利子を計算してみましょう。
3,000万円×3%×60/365=147,945円
短期間の借入であっても、高額の利子を支払わなければいけないことがわかりますね。
3.つなぎ融資を利用する際の3つの注意点
「つなぎ融資を使うときにはどんなことに気を付けたら良いんだろう?」
と疑問を持っている方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、つなぎ融資を利用する上で知っておきたい注意点を3つご説明しましょう。
- (1)手数料などの諸費用がかかる
- (2)利子や手数料は前払い
- (3)金融機関によっては対応していない
利用前にしっかりと注意点を確認して、つなぎ融資を上手に利用してくださいね。
3-1.手数料などの諸費用がかかる
つなぎ融資を受ける場合には、金利以外にも費用の負担が生じます。
つなぎ融資を利用する際の主な費用を確認してみましょう。
- ・事務手数料
- ・保証料
- ・団体信用生命保険の保険料
- ・印紙代
3-1-1.事務手数料
事務手数料は借入額に応じて決まる場合と一律で金額が決まっている場合があります。
多くの場合、事務手数料は10万円程度に設定されています。
ただし、事務手数料は無料としている金融機関もあります。
3-1-2.保証料
保証料については返済額や借入期間によって額が変わりますが、数万円〜20万円程度が目安となります。
この仕組みは、融資をする金融機関が貸し倒れのリスクを減らすためのものです。
保証料を支払うことで、万が一返済が滞った場合、保証会社が代わりに金融機関に返済をしてくれます。
ただし、保証会社に債務を支払ってもらう場合でも、契約者の支払い義務がなくなるわけではありません。
契約者は保証会社に返済を続けることになります。
3-1-3.団体信用生命保険の保険料
さらに、団体信用生命保険へ加入する場合には、保険料を支払う必要があります。
団体信用生命保険に加入しておけば、返済中に万一のことがあっても家族に借金を残す心配がなくなります。
つなぎ融資を受ける場合に加入する団信は、「融資実行前団体信用生命保険」というものです。
保険料は数万円程度となっており、金融機関が負担してくれるケースもあります。
⇒住宅ローンを組めば生命保険はいらない?団信とフラット35を解説
3-1-4.印紙代
また、印紙代については、借入額に応じて次のようになります。
借入額 | 印紙代 |
---|---|
500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 |
3-2.利子や手数料は前払い
つなぎ融資の金利や手数料は基本的に前払いです。
したがって、実際に口座に振り込まれるのは、つなぎ融資額から金利や手数料を差し引いた額となります。
つなぎ融資額の全額が手元に入るわけではありません。
つまり、振り込まれたつなぎ融資額だけでは足りず、金利や手数料に当たる額は自己資金で用意する必要があるということに注意が必要です。
3-3.金融機関によっては対応していない
つなぎ融資は、住宅ローンを借りる金融機関が提供するものを利用するのが一般的です。
しかし、金融機関によってはつなぎ融資に対応していないことがあります。
つなぎ融資が必要になるようであれば、住宅ローンを選ぶ際につなぎ融資の有無についてもしっかりと確認しておくようにしましょう。
4.つなぎ融資の賢い使い方
つなぎ融資は自己資金が十分に用意できない方にとって便利な仕組みですが、費用が多くかかるなどデメリットもあります。
そこで最後につなぎ融資を賢く使う方法をご紹介していきます。
4-1.住宅ローン選びの際はつなぎ融資も含めて総合的に検討しよう
つなぎ融資は住宅ローンと同じ金融機関に借りるケースが多くなっています。
したがって、住宅ローンを選ぶ際にはつなぎ融資の金利や手数料を含めて総合的に比較する必要があります。
物件完成前に必要となる費用についても事前にしっかりと計算しておきましょう。
その上で、つなぎ融資の金利などを含めて住宅ローンを比較検討し、どの住宅ローンを借りるか判断すると良いでしょう。
4-2.自己資金を増やして借入額を減らそう
つなぎ融資の負担を減らすためには、借入額を減らすことが重要です。
借入額を減らすことができれば、支払う利子も少なくて済みます。
つなぎ融資の額が大きくなりすぎないよう、自己資金を事前にしっかりと準備しておくようにしましょう。
4-3.場合によっては住宅ローンの分割融資をしてくれる金融機関を利用しよう
住宅ローンは物件の引き渡しのタイミングで融資されるというのが一般的です。
しかし、金融機関によっては住宅ローンの「分割融資」を実行してくれる場合があります。
分割融資を受けられれば、建物完成より前に必要になる費用はそれで支払うことができるため場合によってはつなぎ融資を利用するよりもお得に資金を調達できるかもしれません。
ただし分割融資は一般的に手数料が高い傾向にあります。
費用の特徴 | |
---|---|
つなぎ融資 | 金利が高い |
分割融資 | 手数料が高い |
つなぎ融資と分割融資のどちらが得かは借入額や借入期間によっても変わってくるため、一概にいうことはできません。
住宅ローンを選ぶ段階で利用を検討している金融機関の商品を確認し、よりお得なものを選ぶのが良いでしょう。
5.まとめ
つなぎ融資は、住宅の引き渡し前に発生する費用を融資してもらえる便利な仕組みです。
ただし、つなぎ融資は金利が高いため、利子を多く支払う必要がある点に気を付けなければいけません。
さらにつなぎ融資にはさまざまな費用がかかる点にも注意しましょう。
つなぎ融資を上手に利用するには、住宅ローン選びの際につなぎ融資の条件についてもきちんと確認しておくことが重要です。
また、つなぎ融資ではなく、分割融資を受けるという選択肢もあります。