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不動産売却の際に、多額の税金がかかる可能性があります。「いくらで売れるのか」も重要ですが、「税金がいくらかかるのか」と言うことを売却前の段階から知り、「不動産売却に関わる手取り金額はいくらなのか」というのを正しく理解しておくことも重要です。
この記事では不動産売却時にかかる税金とその計算方法、さらにその支払うべき税金を1円でも安くするノウハウを余すことなく記載していきたいと思います。
⇒【2023年】不動産売却完全ガイド!初めてでも分かる売却の流れやポイントを解説
福留 正明
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1.不動産を売却して利益(譲渡所得)が出たら譲渡税(所得税・住民税)がかかる
ご自宅や駐車場、アパート、マンション等の不動産を売却して利益が出た場合には、その利益に対して一定率の税率を乗じた金額の税金がかかります。この税金のことを譲渡税と言い、内訳として所得税と住民税があります。
なお、ここで「買った金額」よりも「売った金額」が低く、利益が出ないような場合には税金は一切かかってきません。ただ、10年前にマンションを5,000万円で買って、今回4,000万円で売ったから大丈夫といった単純なものではありません。この売った不動産が土地の場合には単純に買った金額と売った金額を比較すればよいのですが、マンションのように建物部分が購入金額に含まれる場合には注意が必要です。
税金を計算する上で、建物は経年とともに「減価」していくという考え方があります。つまり、10年前に買ったものは、月日が経つうちにその価値が減少していくと考えます。この考えを「減価償却」と言い、建物について「買った金額」を計算する上では、この「減価償却」を考慮して計算する必要があるのです。計算方法については次項で詳しく見ていきましょう。
⇒支出のない経費「減価償却費」で節税はできる? 減価償却と節税の仕組みとは?
2.譲渡税(所得税・住民税)の簡単計算方法2ステップ
不動産を売却した際にかかる税金の計算式は簡略化すると上記のように、「利益(譲渡所得)×税率」で求めることができます。では、このそれぞれの項目、「利益(譲渡所得)」及び「税率」の求め方を見ていきましょう。
2-1.まずは利益(譲渡所得)を求める
まずは、利益(譲渡所得)の計算方法です。上記の図の通り、「売った金額(収入金額)」から、「買った金額(取得費)」と「売却にかかった経費(譲渡経費)」と「特別控除額」の3つを差し引くことで利益(譲渡所得)を求めることができます。それでは、この4つの計算要素については順番に詳しく見ていきましょう。
1)売った金額(収入金額)
売った金額は、売却によって得られる収入金額のことです。手付金と残金という形で2回に分けて受領することが一般的ですが、この収入金額はそれらの合計額となります。
また、一般的に売買契約書に金額の記載がなく、忘れがちなものが、「固定資産税の精算金」です。不動産に関わる固定資産税は、その不動産を1月1日時点で所有している者のところに請求がいきます。例え、年の途中の6月30日に売却しても、1年分の固定資産税を市区町村に払う必要がでてきます。ですので、一般的には、この払い過ぎている固定資産税を売買金額とは別に買主から受け取ることになります。これを「固定資産税の精算金」と言い、この金額も収入金額に参入する必要があります。
⇒譲渡所得税(不動産譲渡税)の税率
⇒不動産売却に関わる税金の計算方法
⇒相続不動産を売却した際の税金の計算方法
⇒マンションを売却した際の税金の計算方法
2)買った金額(取得費)
【〇取得費に含まれるもの】
・購入代金(建築価格) ・仲介手数料 ・契約書印紙代 ・登録免許税 ・司法書士報酬 ・不動産取得税 ・借入に関わる手数料 ・固定資産税等の精算金 ・取り壊し費用 ・造成費等 等
取得費には、上記のようなものが含まれます。
ただ、不動産には土地部分と建物部分がありますが、このどちらかに該当するかでこの計算方法が異なります。
土地の場合には、前述の「減価償却」という考えがなく、購入時の金額がそのまま売却時の取得費となります。
・建物部分の買った金額(取得費)の求め方
「建物の取得費」=「購入代金等」-「減価償却費」
上記の算式で求めます、さらに「減価償却費」の具体的な計算方法は、以下の通りです。
「減価償却費」= 購入代金等 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
この計算式の償却率については、例えば、木造建物の場合は0.031、軽量鉄骨の場合は0.025、鉄筋コンクリートの場合は0.015という数値になります。経過年数は購入時から売却時までの経過年数で6か月以上は1年、6か月未満は切り捨てで計算を行います。
詳しく知りたい方は、建物の取得費の計算|国税庁をご覧ください。
・土地部分と建物部分の金額の内訳が分からない場合
購入時の契約書に、土地と建物の区分け(内訳)の記載が特にない場合があります。その場合には、計算でこの金額を按分する必要があります。いくつか方法がありますが、当時の「固定資産税評価額の価格比」で按分するという方法が一番多く用いられる方法です。
・買った金額(取得費)がそもそも不明な場合は収入の5%
買った金額が昔すぎて、分からない、そもそも不明な場合には、売った金額(収入金額)の5%を取得費とみなすことができます。これを概算取得費と言い、仮に不明でなくとも実際の取得費よりもこの概算取得費が多い場合にも選択適用することが可能です。
3)売却にかかった経費(譲渡費用)
譲渡費用とは、不動産売却の際に直接かかった費用のことを言います。主なものとして以下のようなものが該当しますが、以下に挙げたもの以外でも該当する可能性はあります。
ちなみに、修繕費や固定資産税等、当該資産を維持管理するためにかかった費用はこの譲渡費用に該当しません。
【譲渡費用に該当するもの】
- ・売却に際して不動産会社に支払った仲介手数料
- ・売買契約書に貼り付ける印紙税
- ・借家人を立ち退かせるための立退料
- ・土地売却のための建物の取り壊し費用
- ・売買契約を有利な条件に変更するための違約金
- ・借地権を売却するときに地主に対して支払う名義書換料
⇒不動産売却における手数料一覧
4)特別控除額
最後に、特別控除額をご説明します。要件に当てはまれば、税金計算上の特典として利益金額から控除することができるものです。
特別控除額には様々なものがありますが、ご自宅を売却予定の方は次の2つを抑えておけば大丈夫でしょう。
・居住用の不動産を売却した場合は3,000万円
自身が所有し自身が住んでいる自宅を売却した場合には、3,000万円という特別控除の枠が設けられています。つまり、3,000万円以上利益が出なければ税金は一切発生しないことになります。
ただ、建物と土地を一緒に売らなければいけないといったいくつかの要件があるため詳しくは以下の国税庁のサイトでご確認をお願いします。
⇒居住用財産の譲渡の特例(3000万円特別控除)
・相続した空き家を売却した場合は3,000万円
2016年税制改正で、新しくできた制度となります。親が住んでいた自宅を相続し、その自宅が空き家になった場合にも上記の居住用の場合と同様3,000万円の特別控除が適用可能となる可能性があります。親が一人暮らしで、家屋の建築が昭和56年5月31日以前、耐震性を備えていること、3年以内に譲渡することなどの要件がいくつもありますので、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
なお、この制度が始まるのは、平成28年4月1日からとなります。
⇒所得税が最大3000万円控除?!空き家を売却するなら知っておくべきこと
⇒相続で取得した空き家は早めに売却を! 空き家の売却で譲渡所得が3000万円控除される?!
2-2.次に所有期間に応じた税率を利益に乗じて税金を計算する
不動産売却にかかる税金は、「利益(譲渡所得)× 税率」で求められることをご説明致しました。
「2-1.まずは利益(譲渡所得)を求める」の項目で譲渡所得が計算できれば、あとはそこに税率をかけるだけで完了です。
なお、この税率は、売却した不動産の所有期間に応じて以下のようになります。
・所有期間が5年以内の場合(短期譲渡)→ 39.63%(所得税等30.63%、住民税9%)
・所有期間が5年超の場合(長期譲渡)→ 20.315%(所得税等15.315%、住民税5%)
3.利益が出たら税務署への申告手続きが必要
なお、ここまで税金の計算方法をご説明してきました。税金が計算されたら、次にその金額を税務署に申告してかつ納付するという作業が発生します。
不動産を売却したら、自動的に税務署が税金を計算してこれを納めてくださいねと通知がくると言うわけではありません。
売却をした本人が自分で税金を計算し、確定申告を行いかつ納税も自主的に済まさなければ、後から税務署に指摘された場合には重いペナルティが課せられてしまいます。ただ、自分でするといっても、不動産の売却に関する税金の負担は重くなることが多く、かつ特例適用の判断を誤ると多額のペナルティが発生する恐れもあるため、譲渡所得の申告については税の専門家である税理士にご依頼されることをお勧め致します。
なお、この確定申告は不動産の売却をした年の翌年の2月16日~3月15日の間に管轄の税務署に行う必要があります。
⇒不動産売却時における確定申告の要否判定
売却によって損失が出た場合にはこちらの記事もぜひお読みください。
⇒居住用財産の譲渡損失の特例について
⇒不動産を売却したら確定申告は必須。赤字でも確定申告した方が良い理由とは?
4.譲渡税を1円でも節税する方法
不動産を譲渡するときに、税金が発生する場合、税金対策として少しでも支払う税金を安くしたいと誰しもが思われると思います。ここでは、不動産の譲渡税を1円でも節税するための方法を解説します。
ただ、先に結論から申し上げると裏技のようなものはありません。国が定めた「税金を安くするための特例や制度」をもれなく真面目に適用することが節税への一番の近道となります。具体的には次のようなことがあります。
- ・取得費が不明でも簡単に諦めなない
- ・使える特例はもれなく調べて適用する
- ・譲渡経費や取得費ももれなく集計して計算する
ここで、「取得費が不明でも簡単に諦めなない」の部分ですが、仮に取得当時の契約書等が一切なくまったく価格が不明な場合も市街地価格指数という数値を用いて計算上の取得費を用いる方法もあります。昭和28年1月1日以降に取得した土地で、取得費が不明な場合にはこの方法の検討の余地がありますので、詳しくは税理士等の専門家にご相談してみてください。
5.まとめ
不動産売却時にかかる税金の計算方法と節税ノウハウについてご説明をしてきました。
この記事でも、すべてを網羅することはできていません。不動産の売却に関わる税金の解説書だけでタウンページ一冊ほどのボリュームがある内容ですので、売却時における税金の計算はご自身でやられるのではなく税の専門家である税理士にご依頼されることを強くお勧め致します。
ただ、予めこちらの記事で勉強して頂き、その概算額を知っておくことはされた方がよいでしょう。
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